TICAD9に向けた在京アフリカ外交団(ADC)とのハイレベル協議
2025年4月22日
第9回アフリカ開発会議(TICAD 9)に向けた準備の一環として、国連開発計画(UNDP)と駐日セネガル共和国大使館の共催により、ハイレベル協議が開催されました。日本に駐在するアフリカ諸国の大使館および代表部から30名以上の代表者、さらに複数のユース団体が参加しました。2025年8月に予定されているTICAD 9に向けて、アフリカと国際社会が関心を寄せる課題や優先事項を共有し、連帯を深めることが目的とされました。
在京アフリカ外交団(ADC)は、日本で開催された本協議を通じて、自国の開発優先課題を国際的な課題と結びつける機会を得たことにより、TICAD 9におけるアフリカと日本の関係深化に寄与しました。また、本協議は30年以上にわたるTICADのレガシーを再確認し、アフリカのオーナーシップ強化と国際的なパートナーシップ推進におけるTICADの役割への認識を高める場となりました。共創による繁栄の共有や、多国間主義の促進など、TICADの理念に焦点が当てられ、アフリカ各国の外交官と若者との戦略的な対話も活発に行われました。
写真左より、クリスチャン・デイヴィッド・ポンデウ氏、ピエール・ンジェンゲ閣下、ジャン・アントワーヌ・デュフ閣下、アフナ・エザコンワUNDP総裁補兼 アフリカ局長、ルクムエナ・センダ閣下、ステュワート・ニャコチョ閣下
ADCのTICAD委員会議長であるジャン・アントワーヌ・デュフ駐日セネガル共和国大使による開会の挨拶で、協議は幕を開けました。デュフ議長は、アフリカのオーナーシップ、多国間協力、そして国際開発のためのダイナミックなプラットフォームとしてのTICADの30年の実績を強調しました。さらに、TICAD 9がポストパンデミックの回復において果たす重要な役割を強調し、貿易、投資、工業化、農業、教育、技術といった重要な分野の強化の必要性を指摘しました。また、アフリカの未来を形作る上で若者の参画が不可欠であると述べ、特に若者の雇用機会の創出や経済的エンパワーメントの取り組みの重要性に言及しました。
次に、アフリカ外交団長のピエール・ンジェンゲ駐日カメルーン共和国大使はTICADプロセスにおける多国間要素と二国間要素の独特な組み合わせについて強調し、共催者としてのUNDPの重要な役割に改めて指摘しました。また、アジェンダ2063に掲げられている農業生産性、商業化、産業化・都市化の3本柱を再度紹介し、技術移転と若者の雇用創出によって推進される産業化がアフリカの開発における最優先事項であるべきだと強調しました。
その後、UNDP総裁補兼アフリカ局長のアフナ・エザコンワが、国際開発におけるアフリカの役割について基調講演を行いました。エザコンワは、アフリカが援助受け手から、主体的かつ自信を持ったグローバルパートナーへと変革する必要があると強調しました。また、UNDPのTICADに対するビジョンとして、TICADの影響力をアフリカ全体に拡大するための5つの基本的な要素を紹介しました。
- アフリカ主導のプラットフォームとして、アフリカのオーナーシップを推進
- 官民の対話の場として、民間セクターとのパートナーシップを促進(新たな多国間主義)
- 国際的な開発フォーラムとして、国際社会の主要な動向と連動
- 共創と革新のための知的プラットフォームの提供
- 現在および次世代のリーダーである若者を巻き込む未来志向のフォーラム
さらに、次回のTICADにおける重要な優先事項として、持続可能なエネルギー、デジタルトランスフォーメーション、そしてスタートアップエコシステムの開発が挙げられました。エザコンワは、アフリカがグローバルな開発と平和の形成において中心的な役割を果たすためには、協調的な行動と対話が必要であることが強調しました。
協議では、今後のTICADにおける若者の中心的な役割も強調されました。TICAD9ユース政策提言プロジェクトを代表して、クリスチャン・デイヴィッド・ポンデウ氏は、「ユースアジェンダ2055」と彼らのアクションプランについて紹介しました。TICADの枠組み内で若者専用の対話の場を設けること、そして、人材育成のためのリソースを集約する「若者基金」の創設を提案しました。さらに、TICADの意思決定プロセスに若者の声を反映させるためのプレカンファレンスイベントの重要性も強調しました。本協議の参加者は、TICADの今後の成功には、アフリカと日本の若者双方の積極的な参加が欠かせないとの認識で一致しました。
議論の中で、アフリカと日本のパートナーシップ強化の重要性に焦点が当てられ、特にインフラへの投資やアフリカ域内貿易・地域統合を促進するための取り組みが注目されました。アフリカが比較優位を有する分野—たとえば農業や食品の付加価値化、食料安全保障に資する革新的技術など—への優先的な投資の必要性が強調されました。特に、農村地域における女性と若者への機会拡大は、持続可能な開発を実現する上で極めて重要であるとされました。また、産業の現地化や技術移転、アフリカのニーズに即したエネルギーソリューションの導入といった分野においては、より実践的かつ地域に根ざしたアプローチの必要性が指摘されました。さらに、技術・職業教育の強化に加え、生成AIの可能性も、今後の連携を進めるうえで注目すべきテーマとして挙げられました。
本協議では、連帯、平等、持続可能性といった広範なテーマについても議論が交わされました。気候変動への対応、包摂的な経済成長の促進、デジタル・イノベーションの推進といった国際的な優先課題との整合性を図る必要性が、特に強調されました。また、参加者間では、一般的な声明にとどまるのではなく、現実的かつ実践的な取り組みを実行に移すことの重要性について認識が共有されました。とりわけ、アフリカにおける投資課題への対応、若者の育成・能力強化、スタートアップ支援といった具体的な施策の必要性が指摘されました。さらに、アフリカ諸国間の連携を強化し、実質的な協力を促進する観点から、インフラ開発の重要性も改めて認識されました。同時に、アフリカ域内の連帯性を確保しつつ、日本との二国間関係を強化する必要性も確認されました。
TICAD委員会副委員長であるルクムエナ・センダ駐日コンゴ民主共和国大使は閉会の挨拶において、TICADがアフリカ諸国の独立後に設立された枠組みの中で、アフリカを国際社会の主要な一員として位置付けてきた唯一の取り組みであることを改めて強調しました。また、大使は、課題の明確化が効果的な解決策の策定に向けた第一歩であると述べるとともに、TICADプロセスにおいて真のオーナーシップを実現するには、包括的な意思決定、継続的なフォローアップ体制、そして正当性の確保が不可欠であると指摘しました。さらに、協調的な行動を通じてアフリカの潜在力を引き出すことで、課題を乗り越え、未来を変革することができるという希望を表明しました。
最後に、TICADの議論をより広範な国際金融および開発の課題と結びつけていく必要性が提言され、本協議は締めくくられました。特に、金融制度の改革、持続可能な資金調達の推進、そして不正な資金流出に対処するための国際的な税制改革の必要性が強く訴えられました。