ソーシャル・イノベーション・チャレンジ日本大会2022 選考について
2022年12月26日
若者によるソーシャルイノベーションと社会起業を支援する国連開発計画(UNDP)とシティ・ファウンデーションのプログラム「Youth Co:Lab(ユース・コーラボ)」は、社会課題に挑戦したい、高校生から34歳までの若者に向けたSDGsビジネスコンテスト「ソーシャル・イノベーション・チャレンジ日本大会2022」を開催しました。(ご参考:応募要項・最終ピッチ大会お知らせ)
開催4年目の今年は、SDGs達成の基本原則である「Leave No One Behind ~誰一人取り残さない~」をテーマに、支援やサービスが届きにくい立場にいる人々をターゲットとしたビジネスにも着目し、最優秀賞や観客賞などに加え、新たに「Leave No One Behind 」賞も設けました。
今回は国内外から54件の応募があり、書類審査の一次審査と、ピッチ動画による二次審査を経て、8組の最終選考者を決定しました。 SDGs達成に焦点を当てた、社会や人々の「困った」に寄り添うビジネスアイディアを重視するとともに、以下の審査基準を軸として審査を行いました。
- 持続可能な開発目標(SDGs)への貢献度~社会問題解決へのインパクト
- 事業アイディア~イノベーション・革新性~
- 事業モデル~実現可能性、持続可能性~
- アントレプレナーとしての熱意・ビジョン
審査にあたっては、上記4つの点についての総合的なバランスに加え、どれだけ説得力をもったわかりやすい伝え方ができているか、コミュニケーション力も重視しました。また、アイディア段階のものからすでに実装に入っているものまで、様々な事業ステージの事業が寄せられたため、今後の成長可能性も考慮に入れました。
ご参考まで、今回の応募者の特徴は以下のとおりでした。
- 年代の割合:20代:52%、10代:28%、30代:20%
- 国外案件:54件中9件が国外の課題解決案
- 社会課題・SDGsの分野:幅広い分野にわたり応募がありましたが、特に多かったのは、以下の5つの目標に貢献するアイディアでした:
- - SDG 目標3:すべての人に健康と福祉を
- - SDG 目標4:質の高い教育をみんなに
- - SDG 目標11:住み続けられるまちづくりを
- - SDG 目標12:つくる責任 つかう責任
- - SDG 目標13:気候変動に具体的な対策を
2022年11月15日、8組の最終選考者の中から、最終ピッチを経て、以下の5組が各賞を受賞しました。
最優秀賞、CVC賞
「焼却処分場を再生工場に変え、日本を廃棄大国から資源大国へ」
(株式会社yuni 内橋堅志氏)
寝具の年間廃棄は1億枚、およそ1人が1枚捨てています。しかし寝具のリサイクル率は2%。私達はこの課題を解決するため、寝具のお引き取りと再生素材化に取り組むサービス「susteb」を運営しています。
評価点:1年という短期間で、寝具リサイクルという課題に着目し、経済性を確保したビジネスモデルを確立させた点。今後どう継続・拡大していくか、Youth Co:Labのモデルケースとなる期待も大きい。
Leave No One Behind(LNOB)賞
「冷蔵庫プロジェクト 〜ビジネスの力で貧困の連鎖を断ち切る〜」
(本嶋向日葵氏)
途上国の貧困女性に冷蔵庫と仕入資金を貸与、子育てをしながら自宅で開業できる高利益なドリンク販売に特化した小規模商店のフランチャイズ展開を行います。所得を倍増させ生活の安定と貧困脱出を図る事業です。
評価点:貧困女性の生計向上をターゲットにした点と、機材と少額資金貸与により、所得を倍増させ自立支援につながるビジネスモデルを評価。
スケーラビリティ(汎用性)賞
「アフリカ農村部のデジタルプラットフォーム構築」
(株式会社Dots for 中田渉氏)
アフリカ農村部に対して、安価で分散的な機材を導入することによってデジタルプラットフォームを構築。多くの企業の参入が困難だった市場へのチャネルを提供することでラストフロンティアのデジタル化を目指します。
評価点:マーケット規模が小さく取り残されがちな農村部をターゲットとしつつ、収益化できるイノベーティブなビジネスモデルを作りあげた点。チームの熱意の高さも評価。
審査員特別賞、CVC賞
「食物アレルギーに配慮したクッキー」
(株式会社RelieFood 加納颯人氏)
私には重度の食物アレルギー患者の弟がおり、外食に気軽に行けない姿や苦しんでいる姿を間近で見てきました。そんな患者の方々の少しでも助けになるような商品開発を行っております。
評価点:当事者の視点をよく理解し、シンプルでわかりやすい、しかしまだ事業として普及していない点に目を付けた着想点を評価。
観客賞
「林業に持続可能性をもたらす新たなテクノロジーを活用した「林業用高生育苗」の生産」(株式会社WAKU 姫野亮佑氏)
森林主伐後の再造林実施割合は3-4割と、日本の林業は持続可能性を失いつつあります。WAKUは新たな技術を活用し、通常よりも生育の早い「林業用高生育苗」を生産することで、林業に持続可能性をもたらします。
評価点:観客による投票結果