UNDPが警鐘:最貧国の債務返済額は危険なレベルに膨張

国連開発計画は開発途上国への緊急の財政救済措置と借入制度の見直しを提唱

2025年2月25日

2023年、開発途上国の対外債務返済額は1.4兆ドルと、記録的な水準に達しました。最大の打撃を受けている最貧国では、この10年で債務返済費用が3倍、利払いが4倍にそれぞれ増大し、総額で360億ドルに上るものと見られます。

Photo: UNDP

ケープタウン発 – 国連開発計画(UNDP)が発表した政策概要(ポリシーブリーフ)によると、多くの開発途上国が抱える債務危機は、この20数年間に見られなかった最悪の水準に達し、これによって開発が後回しにされるという悲惨な事態を招いています。

この政策概要は、ケープタウンで開かれるG20財務相・中央銀行総裁会議に先駆けて発表されたもので、債務脆弱性指標が依然として高止まりし、さらに悪化の一途をたどっているとの警鐘を鳴らしています。開発途上国、特に後発開発途上国は債務返済に国庫収入の大きな部分を割いていますが、この割合はさらに拡大しているのが現状です。

現時点で、利払額が歳入の10%を超えている開発途上国は56か国と、10年前からほぼ倍増しています。うち17か国では、歳入に占める利払いの割合が、デフォルトリスクと強く関連づけられる20%の水準を超えました。

アヒム・シュタイナーUNDP総裁は「債務と開発のトレードオフ関係によって、世界の最貧国の多くで、開発の失われた10年が生まれかねない状況です。国際社会はぎりぎりまで待つことなく、具体的な財政支援を提供しなければなりません。新たな債務救済措置は金銭的にも、政治的にも大きな意味があります」と語っています。

現在、債務返済困難に陥っているか、そのおそれが大きい最貧国31か国の公的対外債務総額は2,050億ドルと見られますが、この金額は、大半が富裕国に割り当てられた2021年のIMF特別引出権の3分の1未満であり、OECD開発援助委員会メンバー国からの政府開発援助(ODA)年間総額の半分にも及びません。

UNDPの分析は、より効果的な債務救済策へのアクセスを改善しなければ、多くの開発途上国が長期的な支払能力の危機に陥りかねないと強調しています。

2023年、開発途上国の対外債務返済額は1.4兆ドルと、記録的な水準に達しました。最大の打撃を受けている最貧国では、この10年で債務返済費用が3倍、利払いが4倍にそれぞれ増大し、総額で360億ドルに上るものと見られます。

今年6月にスペインのセビリアで開催される第4回開発資金国際会議(FfD4)を前に、UNDPは政策立案者に対し、3つの重要な債務政策改革に優先的に取り組むよう働きかけています。

  • より効果的で秩序ある債務再編枠組みによって、すべての開発途上国が必要に応じ、これを利用できるようにすること
  • 体系的な債務救済策によって、最貧国が開発への投資不足による悪循環を断てるよう支援すること
  • 高すぎる借入費用を減らすことで、開発途上国が長期的成長に投資できるようにすること

アヒム・シュタイナーUNDP総裁は「G20のようなフォーラムには、持続可能な成長機会を促進する長期的金融策の策定で果たすべき重要な役割があります。債務ストレスをはじめとする重大な優先課題は転換点を迎えており、これに対処するには、大胆な緊急行動によって、成長と安定を最も必要とする国々に、そのための道筋を整える必要があります」と語ります。

政策概要全文は、www.undp.org/publications/undp-debt-update-development-gives-way-debtをご覧ください。