日本とUNDPが2025年5月のフィリピン・バンサモロ議会選挙に向け協力

2024年9月10日
a group of people posing for the camera

2024年8月1日、遠藤和也駐フィリピン共和国日本国特命全権大使と、セルヴァクマラン・ラマチャンドラン国連開発計画(UNDP)フィリピン事務所常駐代表は、無償資金協力「バンサモロにおける有権者の意識向上及び選挙プロセスのデジタル化促進計画(供与額2.34億円)」を行うため、協力に関する書簡に署名しました。日本とUNDPは本プロジェクトを通じて、バンサモロ・ムスリム・ミンダナオ自治区(BARMM:Bangsamoro Autonomous Region Muslim Mindanao)で2025年5月に初めて実施される議会選挙に向けて、有権者教育の促進、民主的プロセスへの参加確保、選挙管理委員会のデジタル化を支援します。

バンサモロ選挙事務所を通じて選挙管理委員会が監督する2025年のBARMM議会選挙は、バンサモロ選挙法に従って行われます。同法は、議会政治における選挙プロセスの民主的で包括的な枠組みを規定しています。これには、有権者や政党の登録、立候補の届出、自動投票、選挙にかかる紛争解決などの仕組みが含まれています。そしてこのBARMM議会選挙は、和平プロセスの成果を確固たるものとし、国民の願望と多様性を反映した選挙権によってBARMMの自治能力を高めるための重要な一歩となります。

選挙管理委員会のジョージ・アーウィン・ガルシア議長は、「この協力は選挙プロセスを近代化し、より高い透明性、効率性、包括性を確保する選挙管理委員会の能力を大幅に強化するものです。UNDPの継続的な支援は、フィリピンにおいてより民主的で参加型の選挙制度を根付かせるという、私たちが共有する目標を推進する上で極めて重要なものです」とフランセス・キャロリン・アギンダダオ・アラベ理事兼議長特別補佐官を通じて述べました。また、調印式には、外務省のアンソン・カヤコ次長と、平和・復興・統一大統領顧問室のカルロス・ドミンゴ・ゲバラ氏が立ち会いました。

遠藤特命全権大使は基調演説の中で、「選挙管理委員会及びUNDPとのパートナーシップは、選挙プロセスにさらなる透明性を導入し、関係者の能力を高め、デジタル化を通じてより参加的な有権者基盤をもたらすことを目的としてます。こうした取り組みを通じて、日本政府はこの重要な民主主義運動の実施に向け、有権者が積極的に参加し、十分な情報を得ることができるよう、力を尽くしたいと考えています」と述べました。日本政府は、ミンダナオ島における持続可能な開発と恒久的な平和の達成のためにフィリピンを支援しており、UNDPフィリピンの重要な開発パートナーです。

BARMM議会選挙では、特に女性、先住民、若者、その他の社会的弱者の参画が極めて重要です。更に、最近公布されたバンサモロ選挙法の施行規則を含め、国会の役割と権限に関する有権者の意識は、選挙の結果と地域の当面の未来を形成する上で不可欠な役割を果たします。UNDPフィリピンは選挙管理委員会との緊密なパートナーシップのもと、特に選挙権を剥奪される恐れのある人々やラストマイルの周縁地域に住む人々に対する有権者教育を改善することで、民主的参加と包括性の強化を目指します。

また、このパートナーシップによりデータ分析が活用され、選挙管理委員会が様々な地域や社会的弱者のニーズに特化した介入策を立案するのに役立つことが期待されます。迅速で信頼性の高いデータフローと処理を確保し、全国の関連選挙情報への一般アクセスを改善するため、選挙管理委員会の主要プロセスのデジタル化も行います。

UNDPフィリピンは選挙管理委員会を支援し、 貧困削減と万人のための安全保障が重要な優先事項であるこの地域における民主的空間の拡大に貢献することを目指します。なお、UNDPフィリピンは、2023年に女性の政治参加を促進するため、選挙管理委員会のデジタル化能力強化も支援しました。