「2022年特別報告書 人新世の脅威と人間の安全保障~さらなる連帯で立ち向かうとき~」日本語全訳 出版
2022年12月6日
このたび、国連開発計画(UNDP)は日経BP社より「2022年特別報告書 人新世の脅威と人間の安全保障~さらなる連帯で立ち向かうとき~」を出版しました。これは、UNDPが今年2月に全世界に向けて発表した報告書の日本語全訳です。
世界では、7人に1人しか安全な状況と感じていません。人新世という新時代に人類を襲う地球規模の脅威は何か、そのような時代背景で変わりゆく人間の安全保障のかたちとはどのようなものなのか。豊富な最新データと共に、オールカラーでまとめて把握できる1冊です。
2020年9月の第75回国連総会一般討論演説において、菅前総理は「いま、新たな時代の人間の安全保障の考え方に立って、様々な危機を乗り越え、SDGs達成をはじめとした地球規模の課題への取組を加速する。そのために、私は、世界の英知を集め、議論を深めていくことを提案」すると表明されました。これを受け、UNDPは日本政府の支援のもと、国際的な議論の場として、武見敬三参議院議員らを共同議長とするハイレベル有識者諮問パネルを設置し、本報告書をとりまとめました。日本語版の作成に当たっては、前国連日本政府代表部大使・次席常駐代表で、大阪大学大学院国際公共政策研究科の星野俊也教授に監修していただきました。
本の詳細は以下の通りです。ぜひご一読ください。
https://bookplus.nikkei.com/atcl/catalog/22/11/14/00492/ (外部リンク)
≪目次≫
第I部 連帯の拡大で人新世における 人間の安全保障の拡大を
【第1章】 人間の安全保障:永続的かつ普遍的な要請
- 豊かさとともに広がる人間の不安全
- 「人類としてのまなざし」で人間の安全保障の実現を
【第2章】 人新世という時代背景で変わりゆく人間の安全保障のかたち
- 地球規模での危険な変化と社会的格差は相互増強的関係
- 人間の安全保障に対する複合的脅威
- 人新世を時代背景とする人間の安全保障
第II部 人間の安全保障に対する 新世代型の脅威に挑む
【第3章】 デジタル技術の乱用が生み出す人間の安全保障への脅威
- サイバー安全保障の欠如およびテクノロジーによる意図せざる結果
- ソーシャルメディアの弊害への取り組みと人権擁護
- 意思決定をAIに委ねれば人間の安全保障が揺らぐおそれも
- 技術革新へのアクセス格差
【第4章】 暴力的紛争が人間に及ぼす影響を掘り起こす
- 人間の安全保障への複雑な脅威を伴う紛争にはシステミックな対応が必要
- 行為主体性を接点に、エンパワーメントと保護で平和な暮らしを実現
- 人間の安全保障に対する新世代型の脅威の中で変わり続ける暴力的紛争の力学
- 人間の安全保障アプローチの強みは 紛争分析、紛争防止、平和の持続の中心に人間を据えること
【第5章】 不平等、そして人間の尊厳に対する攻撃
- 水平的不平等で損なわれる人間の尊厳
- 人間のライフサイクルに沿って生じる人間の安全保障への脅威
- 女性や少女たちにとって、人間の安全保障の敵は暴力と経済的差別
- 人種・民族間の力の不平等はすべての人間の安全保障を阻害
- 移動する人々が人間の安全保障なき道を歩まされるおそれも
- 表現、行動、身体的特徴の違いによる差別の解消が 人間の安全保障全体を改善
- 水平的不平等の解消で人間の安全保障の充実を:行為主体性の重要性と連帯の義務
【第6章】 新世代の人間の安全保障に対応できない ヘルスケアシステムの課題に取り組む
- 経済がコロナ禍からの復興を遂げる一方で、人々の健康に対する脅威は続く
- 疾病による負担の増加によりヘルスケアシステムの調整が必要に
- ヘルスケアシステムの強化で人間の安全保障の向上を
- 連帯に基づいた人間の安全保障の強化戦略:新世代型のヘルスケアシステムのユニバーサリズムを目指して
結論 さらなる連帯に向かって:人間開発と人間の安全保障の両立を実現する