「都市部におけるプラスチックごみ処理能力向上計画」プロジェクトが発足

2025年3月13日
Two officials shaking hands over a table, with flags and backgrounds indicating a signing ceremony.

エアン・ソパレット大臣(右)とアリーシャ・シャーケルUNDPカンボジア常駐代表(左)

Photo: UNDP Cambodia

プノンペン発 — カンボジア環境省、在カンボジア日本国大使館、国連開発計画(UNDP)はこのたび、「都市部におけるプラスチックごみ処理能力向上計画」の発足式をカンボジア環境省で執り行いました。日本政府の資金供与によるこのプロジェクトは、4R(Refuse(使用拒否)、Reduce(使用量削減)、Reuse(再利用)、Recycle(再生利用))の枠組み促進を通じ、陸上と海洋のプラスチックごみ汚染を防ぐとともに、これを最小限に抑えることをねらいとしています。プロジェクトは今後3年間にわたり、プノンペン、トボンクムン、シェムリアップ、プレアシアヌーク各州の都市部のほか、沿岸部のケップ、カンポット、ココン各州のステークホルダーとも連携を図ります。

エアン・ソパレット環境大臣が主宰した発足式には、植野篤志駐カンボジア王国日本国特命全権大使とアリーシャ・シャーケルUNDPカンボジア常駐代表も出席しました。

エアン・ソパレット大臣は、プラスチックごみの急増によって、カンボジアの廃棄物管理システムと環境に大きな圧力が加わっていることを説明したうえで、「プラスチックは現在、都市ごみ排出量の20%を占めるに至っています。このことからも、カンボジアではプラスチックの使用量を減らし、廃棄物の適切な管理、回収、再利用、そしてリサイクルを図ることが急務となっています。今回のプロジェクトは『国家環境循環戦略2023-2028』に大きく貢献するとともに、これに対応する『ノ―・ビニール袋デー』、『みんなでできるクリーン・カンボジア』、『国道プラスチックごみ一掃』キャンペーンを補完する事業にもなるでしょう」と付け加えました。

環境大臣の発言を受け、植野篤志大使は「カンボジアは急速な経済成長を遂げ、国民全体の暮らしも大きく改善しました。その一方で、高度成長の必然的な結果として、プラスチックごみをはじめとする固形廃棄物の排出量も急増しています。この課題への取り組みとして、日本政府は3億7,800万円の無償資金協力により、カンボジアにおけるプラスチックの効果的な生産、消費と廃棄物管理を促進しています。また、UNDPは全世界で、カンボジアを含む被援助国政府が持続可能な環境と包摂的な開発を達成できるよう支援し、大きな成果を上げています。日本の経験とUNDPのノウハウで、カンボジアのプラスチック管理への取り組みを支援できると確信しています」と述べました。

Two officials shake hands during a signing ceremony, surrounded by applauding attendees.

植野篤志駐カンボジア王国日本国特命全権大使 (右)とアリーシャ・シャーケルUNDPカンボジア常駐代表(左)

Photo: UNDP Cambodia

アリーシャ・シャーケル常駐代表は、「プラスチック汚染が私たちの環境を破壊し、健康とウェルビーイングを脅かしていることは、何年も前から科学が実証しています。特に懸念すべきは海洋プラスチックの影響で、コレクティブ・アクションで対処しなければ、2050年には重量ベースで海中のプラスチックが魚を上回るのではないかという予測も出ています。UNDPは2021年から、環境省や日本大使館との連携により、カンボジアでプラスチック汚染を削減するための基盤整備に取り組んでいます。今回のプロジェクトが、これまでの成果に立脚し、UNDPの地域的、世界的なノウハウも活用することで、大規模な行動変革を引き起こすとともに、イノベーションの牽引と、実証済みの循環経済ビジネスモデルのスケールアップに対する資金提供に向けて民間セクターも巻き込みながら、ネットワークづくりの促進や経験と教訓の共有を図り、その施策を通じて女性や若者の力も活用できるものと期待しています」と語っています。