UNDP総裁、支援なしではアフガニスタン人の生活と生計手段が危機に陥ると指摘

アヒム・シュタイナーUNDP総裁は、アフガニスタンの人道状況に関する支援会議の前日、女子中等教育の再開を求め、国際社会に連帯を訴えました。

2022年3月30日
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UNDP Afghanistan/Oriane Zerah

カブール/ニューヨーク、3月30日 − 国連開発計画(UNDP)のアヒム・シュタイナー総裁は、世界の注目がウクライナでの戦争に集まるなか、アフガニスタンの人々が忘れられてはならないと国際社会に喚起し、アフガニスタンの人々の生活と生計手段を支えるための投資を継続するよう要請しました。

シュタイナー総裁はまた、同国における女児と女性の権利の重要性を強調しました。6年生より上の女子を中等教育から除外するという最近の決定には大きな懸念があるとしたうえで、UNDPは女児と女性の教育や仕事へのアクセスを擁護・推進し、これらの権利を守るため、国連諸機関と協力して取り組んでいると述べました。

「UNDPのパートナーシップは多次元的であることが多く、時としてアフガニスタンの女子教育のように、断絶を形成し得る課題に直面することもあります」とシュタイナー総裁は語りました。「男子も女子も教室で授業を受けられなければなりません。アフガニスタンの未来は、選ばれた少数の人だけでなく、すべてのアフガニスタン人のためでなければならないからです。UNDPは、成長に向けた強固な社会経済的基盤をアフガニスタン人が一から作り上げられるよう、支援を続けていきます」

シュタイナー総裁は2日間の同国訪問中にコメントを発表しました。現地では女性経営者、学識者、市民社会代表者、民間部門、政策決定者と会談しました。また、貧困と経済的不安定の急増を防ぐための行動が急務だと注意喚起しました。

「UNDPは昨年後半、アフガニスタン人の推定97%が2022年半ばまでに貧困に陥っている可能性があると報告しました。残念ながら、予想より早くその数字に到達しつつあります」とシュタイナー総裁は述べました。「また、世界的に一次産品の価格が高騰しているため、この地域の人々が食料や医療、教育といった基本的な人間のニーズを満たす余裕がないことも分かっています。しかし私は、立ち直り、社会の安定に向けて取り組むというアフガニスタンの人々の決意を目の当たりにしました」

シュタイナー総裁は2日間の訪問の最初に、マザリシャリフで女性経営者や商工会議所のメンバーと会談しました。それぞれが事業を継続するうえで直面している困難や、資金へのアクセスが不足しているという話に耳を傾けました。

「私が話をした女性の中小企業経営者たちは、あらゆる困難をものともせず、継続して収入を得て家族や地域社会を養っていくという決意を、粘り強く持っています」とシュタイナー総裁はいいます。「特に女性にとって経済的苦境がこれ以上増すことのないよう、国際社会が連帯とコミットメントを示すことが極めて重要です」と総裁は述べています。「私たちは今年だけで5万社以上の中小企業を支援することを目指しています。その多くは、女性が率いる企業です」

2021年8月の政権交代を経て、アフガニスタンは取り返しのつかない経済破綻の可能性に直面しており、銀行システムの凍結や流動性不足によって80%もの人々が借金を抱えています。

シュタイナー総裁は、この不安定な状況と、最も必要としている人々の手に現金を届ける必要性から、国際社会は来たる3月31日に開催される「アフガニスタンの人道状況に関するハイレベル・プレッジング会合」において、新たな資金提供を約束しなければならないと述べています。

「経済を一から回復させ、軌道に乗せなければなりません。そのことが、個人とその家族、またそのビジネスへの支援になります」と総裁は述べました。「世界の関心はウクライナと、この戦争の波及効果に向けられていますが、私たちはアフガニスタンの人々とも連帯しなければなりません。私たちはこの苦難の時期に、ジェンダー平等や保健、生計手段、またエネルギーへのアクセスにおいて、苦労して獲得した利益が失われないよう、留まって支援を届けていきます」

訪問2日目、シュタイナー総裁は非政府組織(NGO)、市民社会代表者、民間部門のリーダー、女性組織、学識者と会談しました。総裁は、アフガニスタンの未来や今後進むべき道筋に対する彼らのビジョンに耳を傾けました。

「アフガニスタンにおいてより良い未来を築くためには、すべての人に恩恵をもたらす方法で前進する道筋を作ろうと懸命な思想的指導者や若者に、この国に留まってもらう必要があります」とシュタイナー総裁は語りました。「この国の真の未来は、人権や尊厳、生計手段へのアクセスを基盤とし、誰一人取り残さないものでなければなりません」

UNDPは「One UN(ひとつの国連)移行期における関与の枠組み(TEF)」の下、同国における国連の社会経済的復興を主導しています。2021年10月、UNDPは生計手段と小規模な生産活動を守るための意欲的な現地復興プログラム「ABADEI」を立ち上げました。

それ以来、ABADEIプログラムは7万6,000人の短期就労を支援し、2万5,000人の小規模農家や商人の市場参入を支え、10万5,000人に恩恵をもたらす重要な灌漑システムを構築するなど、25万人以上に恩恵をもたらし、太陽光と水力発電によるミニグリッド(小規模電力網)を通して貧困世帯の1万8,000人と中小企業80社にクリーンで手頃な価格のエネルギーへのアクセスを提供しました。

UNDPはまた、110万人の子どもと78万人の女性を含む310万人のアフガニスタン人が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種を含む基礎医療を受けられるよう支援するとともに、医療従事者への給与支払いや医療施設への支援を行うことによって、保健サービスの向上を支えてきました。

財政メカニズム「アフガニスタンのための特別信託基金」の創設は、ドナーからの資金を16の国連機関からなる統一的な対応に振り向け、同国における基本的な人間のニーズと必要不可欠なサービスを支援するための、連携し一丸となった取り組みを実現するうえで、主導的な役割を果たしました。

アフガニスタンで活動する国連機関は、人道的ニーズを満たすために必要な44億ドルに加え、国連の枠組みの下で3,800万人を支援するために不可欠な社会プログラムを維持するために、さらに36億ドルを緊急に必要としています。UNDPは今年、アフガニスタンの対応を支援するために1億3,460万ドルを求めています。

シュタイナー総裁は、信託基金を通じて、また二国間パートナーから、すでに提供されている財政支援がUNDPの現場での活動を支え、アフガニスタンの生計安定に貢献していることに謝意を表明しつつも、持続的な支援と新たなコミットメントによって、同国の繁栄の可能性をさらに高められると述べました。

シュタイナー総裁は「来る会議において、国際的パートナーがアフガニスタンの人々への継続的な支援を約束するよう要請します」と述べています。また「UNDPは、地方レベルでレジリエンスを構築すること、特にアフガニスタンの復興において取り残されてはならない女性と女児を支援することに力を注いでいます」としています。「マクロレベルでは、金融システムを麻痺させ前例のない流動性危機をもたらしている、商業銀行部門と主要な中央銀行の機能の事実上の崩壊に対処するための戦略を策定し選択肢の幅を広げることに取り組んでいます」