日本、初の「司法外交閣僚フォーラム」に世界のリーダーを招集 全世界で司法の強化を目指す連合を形成
司法と法の支配の強化が持続可能な開発の達成には不可欠と G7、ASEAN、UNDPのリーダーが訴え
2023年7月7日
7月7日、東京発 — アヒム・シュタイナー国連開発計画(UNDP)総裁はきょう、2日間の訪日を終えました。シュタイナー総裁は訪日中、東京で「司法外交閣僚フォーラム」に出席するとともに、日本の政府高官や国会議員とも会談し、法の支配と持続可能な開発の実現に向けた協調関係の構築を図りました。
日本がG7議長国として7月6日から7日にかけて開催した「司法外交閣僚フォーラム」には、主要7か国(G7)と東南アジア諸国連合(ASEAN)のほか、国連薬物犯罪事務所(UNODC)とUNDPからも重責を担うリーダーたちが出席しました。会合では、持続可能で包摂的な開発を促進する上で、司法と法の支配が重要な役割を果たすことが強調されました。
シュタイナー総裁は「私たちは、法の支配と人権の分野においてG7とASEANをつなぎ、司法外交を推し進めている日本のリーダーシップを称えます」と述べ、フォーラムを成功へと導いた齋藤健法務大臣に祝辞を送りました。法相との会談では、多国間主義に基づき、世界全体で法の支配、司法へのアクセス、および人間の安全保障を推進することの重要性を再確認しました。
シュタイナー総裁は訪日中、林芳正外務大臣、及び赤堀毅・外務省地球規模課題審議官(大使)と会談し、UNDP最大の政府ドナーである日本の確固たるリーダーシップと戦略的パートナーシップに感謝の意を表したほか、ウクライナにおける復興支援など、共通する優先課題について話し合いました。また武見敬三参議院議員と会談し、グローバルヘルス課題に関するビジョンを共有したほか、上川陽子衆議院議員を会長とする「法の支配を推進するため、司法外交を展開する議員連盟」のメンバーとも 会談し、平和構築における法の支配の重要性を改めて確認しました。
「司法外交閣僚フォーラム」は、より公正で包摂的かつ持続可能な世界を目指すというビジョンをG7、ASEAN、UNDP、UNODCのリーダーたちが共有し、閉幕しました。出席者たちは、司法と法の支配が社会の前進を牽引する柱であり、強固な法的枠組みとすべての人のための司法へのアクセスなくして、持続可能な開発目標(SDGs)を達成することはできないことを認識しました。
そして、あらゆる国の改善を目指し、SDGsの達成に向けた持続的な国際協力とコミットメントの必要性を強調するとともに、各国がそれぞれの法制度を強化し、司法へのアクセスを改善し、人権を擁護できるよう支援するためのベストプラクティスや能力構築への取り組み、技術支援プログラムを促進していくことを約束しました。
シュタイナーUNDP総裁は、「これまでの経験は、私たちに、多国間主義を通じて法の支配と正義の実現に取り組むことが、危機への対処に非常に効果的であることを教えています。無数の危機が相互に関連する現代の世界において、すべての人々の権利と司法へのアクセスを保障することは開発の不可欠な要素です。そのために、私たちの取り組みや資金の使い方を共に調整していくことが必要です」と述べました。
ASEAN加盟国は、司法分野での地域統合と協力を促進する決意を再確認するとともに、50年にわたる日本との実りある協力に謝意を表しました。そして、ASEAN域内での越境犯罪対策、司法協力の強化、法的整合性の促進において、国際的な連携を図ることの重要性を明確にしました。さらに、ASEANのリーダーたちは、ぜい弱な人々の集団の権利を重視し、社会的正義を促進する、包摂的で対応力のある司法制度の必要性を訴えました。
議長国の日本をはじめ、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、英国、米国のG7各国代表、及び司法担当欧州委員は、世界的なレベルで法の支配を強化する決意を表明しました。そして、持続可能な開発の基本要素としての効果的なガバナンス、説明責任(アカウンタビリティ)、人権保護の重要性について合意したほか、透明で偏りのない包摂的な法制度の前進に取り組むことを強調しました。
UNDPは、腐敗防止に向けたG7タスクフォースの設立を含め、ウクライナにおける法の支配と腐敗防止の徹底を支援する国際的な取り組みを歓迎し、これを前進させるためにウクライナのパートナー機関と緊密に協力することを約束します。日本をはじめとする支援国のコミットメントにより、UNDPは、16カ月に及ぶ戦争が壊滅的被害をもたらしてきた中でも、正義を求める手段がすべてのウクライナの人々の手に残されるよう、ウクライナ政府と密接な協力を行っています。優先課題としては、破壊された裁判所の復旧、国際犯罪を訴追するための国家戦略の実施、ウクライナの司法部門の改革などが挙げられます。
G7とASEANの双方と長年にわたり、持続可能な開発に向けて連携してきたパートナーとして、UNDPはすべての加盟国が、人々中心の司法と法の支配を全世界的に推進してゆく決意を固めているという認識を得ました。シュタイナー総裁は「不正義がどこで生じようとも、それに立ち向かう」ため、強力なパートナーシップを作ることが重要だと強調しました。
シュタイナー総裁は「法の支配は国内でも、国家間でも、平和と安定を促進するとともに、紛争を防止し、平和を維持し、包摂的で持続可能な開発を可能にするために欠かせないものなのです」と述べました。
さらに詳しい情報については、下記にお問い合わせください。
保田由布子、渉外・広報官、UNDP駐日代表事務所 yuko.yasuda@undp.org
Aimee Brown, Communications Specialist, UNDP Crisis Bureau, New York, aimee.brown@undp.org
司法外交閣僚フォーラムについて
日本政府が主催した「司法外交閣僚フォーラム」には、G7諸国やASEAN加盟国、UNDP、UNODCからハイレベルの代表が参集しました。フォーラムは、司法と法の支配に関し、それらが持続可能な開発に果たす不可欠な役割に焦点を当てながら、対話と協力を促進することを目指しました。
国連開発計画(UNDP)について
UNDPは貧困や格差、気候変動といった不正に終止符を打つために闘う国連の主要機関です。170か国において、人間と地球のために総合的かつ恒久的な解決策を構築すべく、様々な専門家や連携機関からなる幅広いネットワークを通じ支援を行っています。