ウクライナ戦争がアフリカの持続可能な開発に与える影響

ウクライナ戦争がアフリカの持続可能な開発に与える影響

2022年7月15日

ウクライナでの戦争は、アフリカ諸国が深刻な経済後退、生産性の大幅な損失、不平等の悪化、地球への圧力、また安全保障上の問題を引き起こした世界的な新型コロナウイルスのパンデミックによる不安定な影響から回復しようと努力しているときに起こっています。それは、アフリカ諸国の開発の進展を狂わせ、2030年の持続可能な開発目標やアフリカ連合のアジェンダ2063の目標をさらに手の届かないところに押しやるおそれがあります。

アフリカにおける危機の直接的な影響としては、貿易の混乱、食料・燃料価格の高騰、マクロ経済の不安定さ、安全保障上の課題などが挙げられます。この危機により、ブレント原油の1バレル価格は2014年以来初めて100ドルの大台に乗りました。同時に、ロシアとウクライナからの供給途絶(実際と予想)が世界市場を揺るがし、食糧穀物価格はさらに上昇を続けました。ほとんどのアフリカ諸国では、食料と燃料が消費者物価指数の3分の1以上を占めています。その結果生じるインフレの転嫁は、特に女性や子どもといった弱者にとって迅速かつ大きな打撃となるでしょう。

また、輸入インフレ、困難なエネルギー移行、地政学的再編の可能性など、危機の間接的な影響も考慮しなければならなりません。調達先を多角化するためには、ヨーロッパは残りの3分の2のギャップを埋めるための新しい供給先を探さなければならないでしょう。アルジェリア、リビア、ナイジェリアといったアフリカのガス生産国は、このギャップを埋めるのにうってつけの存在です。しかし、世界的な石油・ガス需要の増大がもたらす直接的な影響は2つあります。第一に、より環境に優しい持続可能なエネルギー源への正当な移行を確保するための進展が損なわれる可能性があります。第二に、アフリカ諸国がヨーロッパにガス供給を輸出しているため、近い将来、アフリカ大陸の天然ガスへのアクセスが制限される可能性があります。

戦争の影響は、アフリカを深刻な債務苦に追い込み、各国が債務を履行する可能性を低下させる可能性があります。また、食糧や燃料の価格高騰は、通常、最も脆弱な世帯を最も苦しめるため、不平等が拡大する可能性もあります。電気や調理用燃料へのアクセスが減少すれば、より多くの世帯が多次元的な貧困に陥るでしょう。一方、予算の縮小は、世帯が資産を処分するきっかけとなり、将来の衝撃から身を守る能力を低下させるでしょう。全体として、このような間接的な影響は経済活動全体を制約し、社会的緊張や不安を引き起こす可能性があります。