紛争等の影響を受ける地域でのビジネスにおける人権デュー・ディリジェンスの強化 手引書
紛争等の影響を受ける地域でのビジネスにおける人権デュー・ディリジェンスの強化 手引書
2022年11月8日
企業が深刻な人権侵害に関与してしまうリスクは、武力紛争やその他の暴力が蔓延している状況において特に高くなります。これらの状況は大きく異なり、国家や非国家主体 ( 軍やゲリラグループなど)、 異なる目的 ( 領土や資源の獲得など)、根底にある動機(イデオロギーの押し付けや利益の獲得など)が関与しています。 これらの異なる状況下において責任ある事業を行うための複数の課題に対する明 確な答えを提供することは不可能ですが、本手引書は、武力紛争やその他の暴力が蔓延する状況において、企業が効果的なデュー・ディリジェンスの強化を策定、更新、実施するためのパラメータを提供します。本手引書は、国家や企業に対し、事業に関連した人権への負の影響を防止し対処する指針となる権威ある世界的 な枠組みである「国連ビジネスと人権に関する指導原則」(UNGPs)に基づいています。
本手引書は一から作り上げたものではなく、指導原則の期待項目に沿って、国連企業と人権に関するワーキンググループの事例も交えながら既存資料の要素をまとめています。このように点と点をつなげることで、企業が人権デュー・ディリジェ ンスを強化する効果的な体系を作ることができるようにします。
本手引書は、武力紛争やその他の暴力が蔓延する状況において、人権への影響 を防止し対処するために企業が取るべき行動について明確な指針を提供しています。そのため、国際的、地域的または国家的な官僚や政策立案者、市民社会組織、地域社会、投資家など、指導原則の実施や平和と安全の課題に関わる他の ステークホルダーにとっても有益なものになると思われます。また、加盟メンバーがベースとなるイニシアチブにおいても、自身の規範と加盟メンバーの期待が人権デュー・ディリジェンスの強化にどの程度則っているかを検証する際、本手引 書が明確な参考資料として役立つ可能性があります。