日本とUNDPが小島嶼国のグリーントランスフォメーションに向け協力

2023年2月26日
Photo: UNDP

2023年2月21日、国連開発計画(UNDP)と日本政府は、「気候に対して強靱な発展及びネット・ゼロに向けた太平洋地域におけるグリーントランスフォーメーション推進計画(51.05億円)」に関する書面に署名しました。署名式はニューヨークの国際連合日本政府代表部で開催され、志野光子大使兼次席常駐代表とカニ・ウィグナラジャ国連事務次長補兼UNDPアジア太平洋局長の間で書簡の交換が行われました。また、パプアニューギニア独立国(フレッド・サルファ次席常駐代表)、サモア独立国(マティルダ・バートレイ次席常駐代表)、東ティモール民主共和国(カルリト・ヌネス特命全権大使)及びバヌアツ共和国(オド・テヴィ特命全権大使)の各国際連合代表部も参加しました。

2年間に渡って実施される本プロジェクトを通じて、パプアニューギニア、サモア、東ティモール及びバヌアツでは、クリーンエネルギーへの投資、より効率的な天然資源管理、気候変動に関連した異常気象への対処能力強化が期待されます。

国連日本政府代表部からは、「日本政府は、持続可能な開発の促進にコミットしています。UNDPとの強固なパートナーシップを通じて、これらの国々がより気候変動に対して強靭な未来を実現できるよう支援します」との表明がありました。

カニ・ウィグナラジャUNDPアジア太平洋局長は、「島嶼国の多くは、温室効果ガス排出量に占める割合がごくわずかであるにもかかわらず、多発する気候危機と闘うための青写真を描いてきました。UNDPは太平洋の16の国々と協力し、気候に関する野心を高めるための支援を行っています。太平洋地域の気候変動に強いグリーンな未来に向けて、私たちは力強く歩みを進めていかなければなりません。50万人を超える島々の人々の利益となるこの取り組みにおいて、日本政府の支援を受けられることを嬉しく思います」と述べました。

志野光子大使兼次席常駐代表とカニ・ウィグナラジャ国連事務次長補兼UNDPアジア太平洋局長

Photo: UNDP

小島嶼国の指導者たちは、異常気象が頻発し、数十年にわたる経済発展を台無しかねない危機に直面する中、気候変動対策を自国の存続の危機と捉えています。そのため、多くの小島嶼国では、クリーンなエネルギーの未来を実現するための政策や技術を取り入れ、ネットゼロ・エミッションに向けて取り組んでいるのです。

特に太平洋諸島の首脳は、温室効果ガスの排出を迅速かつ持続的に削減することを通じて、産業革命前からの気温上昇を1.5度に抑制することの緊急性を一貫して強調してきました。この削減は、大気中に炭素排出を増やさないネットゼロ政策によって達成することができます。再生可能エネルギーをこうした政策の最前線に据え、パプアニューギニア、サモア、東ティモール、バヌアツの各国は、2030年までに再生可能エネルギーの生産規模を拡大し、電力セクターにおける再エネ率を100%とするための取り組みを約束しています。

本プロジェクトでは、万人のための人間の安全保障というビジョンのもと、UNDPが気候の約束(Climate Promise)で培った専門性を活用し、パリ協定に明記された公約に沿って各国がネットゼロと気候変動に対して強靭な道筋へと移行することを支援します。

各対象国における事業概要は以下のとおりです。

パプアニューギニア:ブーゲンビル自治区の人々のために、より持続可能で気候変動に強い、信頼できるクリーンなエネルギーを供給する太陽光発電所3ヶ所を建設する。

サモア:2030年に向けたエネルギー・交通分野における同国の国際的なコミットメントを支援するため、電気自動車と船外機を導入する。

東ティモール:全国の医療用品と医薬品を保管する国立医療倉庫に太陽光発電を導入する。更に、1,000世帯に対してオフグリッド太陽光発電照明と改良型調理用コンロを提供し、薪消費の大幅削減に貢献する見通し。また、中学校や職業訓練校に、太陽光発電による電力で運営するICTラボ15カ所を改修・設置する。

バヌアツ:ピコ水力発電プロジェクトを8ヶ所で実施し、再生可能エネルギーによる100%電化を2030年までに達成するというバヌアツ政府の目標に貢献する。