UNDPと日本の補正予算による援助が奏功
コロナ禍で影響を受けた障害者協同組合を支援
2020年12月10日
背景
UNDPルワンダ事務所は2014年から、市民社会団体との連携により、その組織能力の向上を図るとともに、草の根レベルでのコミュニティ・エンパワーメントを支援しています。この支援は主に、障害者を含む社会的最弱者層を焦点において実施してきました。障害者の包摂を図る取り組みの一環として、最も不利な立場に置かれた人々(聴覚障害者、視覚障害者、色素欠乏症者、子どもの障害者、低身長者)を重点対象とするさまざまな草の根でのエンパワーメント・プロジェクトが実施されています。支援内容は能力開発、統合・特別支援教育、偏見や差別に取り組むアドボカシーや啓発活動、人権教育など、多岐に及びます。
2020年3月、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行がルワンダにも広がると、政府は当面の予防措置を導入しました。障害者の大半は、ルワンダで最も弱い立場に置かれ、経済的課題を抱える人口集団の中に含まれており、都市封鎖(ロックダウン)や事業所閉鎖などの予防措置の悪影響を真っ先に受けました。障害者も含めた全国的なCOVID-19への対応を確保するため、UNDPルワンダ事務所は資金の再配分を行い、コロナ禍への緊急対応と復興支援の両方で、障害者を支えるための追加資金を動員しました。特に聴覚障害者が包摂的に保健情報へアクセスできるようにすること、また喫緊の社会的保護の実施と社会経済的復興の支援を中心に取り組みました。
日本政府とのパートナーシップによる支援の提供
障害者の起業とビジネス開発の面で達成された成果の後退を防ぐべく、UNDPルワンダ事務所は日本政府とのパートナーシップにより、UNDPの支援で以前に設立された障害者協同組合の事業を持続させる取り組みを支援しました。UNDPルワンダ事務所は、ルワンダ全国聾連合(RNUD)やルワンダ元戦闘員・その他障害者組織(RECOPDO)との既存のパートナーシップと継続中のプロジェクトを活用しました。
既存のプロジェクトでは、両組織とも、障害者のための能力育成と事業協同組合の設立に重点を置いていました。しかし、COVID-19対策の実施により、能力開発訓練は中断し、小規模事業の立ち上げも崩壊寸前になっていました。日本政府からの資金供与を受け、UNDPルワンダ事務所は、コロナ禍でも小規模事業を持続させ、これまでの成果が後退するリスクを回避するための取り組みを実施しました。
達成された成果
RNUDとRECOPDOは、13の障害者協同組合のメンバーに対し、家族向けの当面の緊急食料援助を提供するとともに、その事業の経済的復興を支援しました。
これら2つの組織で、ルワンダ各地の協同組合メンバー(障害者)計227人が食料と衛生用品の直接支援を受けたほか、その家族795人も間接的に受益しました。この支援は、ロックダウンの中で障害者の尊厳と生存を確保するという意味から、救命援助とみなされました。
ルワンダにコロナウイルスが広がる以前、13の事業協同組合のうち5つはすでに設置され、運営を始めていました。その他8つの組合は、まだ能力開発の最終段階であったり、協同組合を正式登録するための法的手続が終わっていなかったりしました。協同組合はそれぞれ、仕立てや編み物、製靴、情報通信技術(ICT)など、異なる職種に焦点を絞って活動していました。
ロックダウン措置の一部解除を受け、UNDPは能力開発訓練への支援を続けるとともに、小規模事業の経済的復興に重点的に取り組みました。事業の復興を促進するため、協同組合に対しては、安全な職場復帰のための保健訓練、石鹸や個人用防護具(PPE)、簡易手洗所などの衛生設備と用品、追加的な機材と原材料を購入するための設備投資資金、さらには新たな現実への対応(市場の需要に対応するための石鹸やマスクの生産開始)を支援するためのイノベーション給付金などの支援を行いました 。
現在までに、13の事業のうち11件について 正式登録が済み、コロナ禍においても操業を続けています。残る2つの組合は、仕立てに関する能力開発がまだ終わっていません。メンバーの訓練は、正規の学校制度の一環として行われていますが、ルワンダではまだ学校が全面的に再開していないからです。しかし、立ち上げのための資本はすでに提供されているため、訓練が終わり次第、事業活動をスタートさせて、生計を立てることができるようになります。
日本の補正予算によるこの追加的支援がなければ、13の協同組合は能力開発を続けることも、COVID-19のパンデミックという試練の中で事業を持続することもできなくなり、これまでの支援努力はすべて水泡に帰していたことでしょう。また、個々の共同組合員は、コロナ禍とロックダウンによって、家族を養うことができなくなっていたでしょう。このことは、以下の感動的なストーリーが実証しています。