2021年5月10日 インド・ニューデリー発:インド国内で新型コロナウイルス (COVID-19) 感染症の第2波がかつてない勢いで拡大する中、日本政府と国連開発計画(UNDP)インド事務所はパートナーシップの下、インド北東部に医療用酸素プラントを設置します。昨年6月より、日本政府とUNDPインド事務所はインド政府のコロナ対策を支援しており、最も立場の弱い人々が受けるコロナ禍の壊滅的な影響に対処すべく、保健医療・社会保障強化と生計支援に取り組んでいます。
新型コロナウイルスの急速な拡大が国内の保健医療体制を逼迫する中、インドでは医療用酸素の大幅な不足が喫緊の課題となっています。安定した酸素供給を確保する必要性に鑑み、UNDPは日本からの支援により、インド北東部のメガラヤ州、ナガランド州、トリプラ州に8基の圧力スイング吸着(Pressure Swing Absorption, PSA)酸素プラントを調達・設置する運びとなりました。
設置先として選定された病院は合計で約1,300床の収容能力があり、余剰分の酸素は病院周辺の保健医療機関などで活用されます。現在、可能な限り早く酸素製造を開始できるよう、設置準備を進めています。
今回の支援に対し鈴木哲駐インド日本国特命全権大使は次のように表明しました。「インドのコロナ感染拡大に対する戦いが重要な局面を迎えている中、日本は、友人であり重要なパートナーであるインドと共にあります。日本とUNDPは、インド北東部の人々に対し、命に係わる医療用酸素プラントを提供すべく連携しています。インド北東部は日印関係において重要な位置付けを有しており、この支援が医療用酸素を必要とする北東部の人々の役に立つことを切に願っています。」
野田章子UNDPインド常駐代表は、「日本の皆様に感謝の意を表します。この重要な支援により、UNDPは特に支援が届きにくい地域の病院や保健センターで酸素を安定供給できるようになります。インドの状況は深刻で、新型コロナウイルスは数千万人もの命を脅かし続けています。確実に国の隅々まで支援が行き渡り、誰一人取り残さないためにも、UNDPはさらなる支援を緊急に必要としています」と強調しました。
上記に加え、UNDPはワクチンがより簡単に受けられ接種率が上がるよう、保健・家庭福祉省への支援を通し、ワクチンのサプライチェーンと接種者追跡情報のデジタル化を支援しています。また、「世界最大のワクチン接種活動」を支援するために、全国820,500人の現場医療従事者の能力向上も支援しています。日本政府は、人工呼吸器や酸素濃縮器を始めとする緊急に必要な物資をインドに提供するため大規模な支援表明をしています。
UNDPは貧困をなくし地球を守るため、170の国・地域で活動する国連機関です。UNDPは様々な国の発展を手助けするため、政策、技術、パートナーシップ、政府機能等を強化する支援を行っています。インドにおいては1951年より、政府機能の強化から包括的な成長、持続可能な暮らし、さらには持続可能なエネルギー、環境、レジリエンスの強化など人間開発関連のほぼ全ての分野で活動しています。UNDPが実施するプログラムは、開発に変化を起こすことを念頭に、グローバルな視点とインド政府の優先事項を統合しながら実施しています。現在、インドのほぼすべての州で30以上のプロジェクトが実施されており、従来の開発モデルを変革し、新たな形で行うことで、持続可能な開発目標 (SDGs)の達成に取り組んでいます。