Men installs a solar panel on the rooftop of a house in rural Timor-Leste

パシフィックGX

気候に対して強靱な発展及びネット・ゼロに向けた太平洋地域におけるグリーン・トランスフォーメーション推進計画(太平洋島しょ国GXプロジェクト)

気候に対して強靱な発展及びネット・ゼロに向けた太平洋地域におけるグリーン・トランスフォーメーション推進計画(太平洋島しょ国GXプロジェクト)」は、エネルギー転換や再生可能エネルギーの活用を通してコミュニティの強靭化と気候リスクへの適応を促進し、太平洋島しょ国による気候行動を前進させるとともにグリーントランスフォーメーション(GX)をテコにした持続的な国の発展やコミュニティの成長を支援しています。

UNDPは、日本政府による資金提供を受けて、2023年からパプアニューギニア、サモア、東ティモール、バヌアツの4か国で「太平洋島しょ国GXプロジェクト」を実施しています。

地球の平均気温が0.1度上昇するだけで、気候変動により引き起こされる災害の脅威は格段に高まります。これらの災害は脆弱な自然生態系や社会経済システムに影響を与え、ひいては社会の不安定化に拍車をかけます。太平洋地域の島しょ国はこのような気候危機の最前線に立たされています。島しょ国が持続的な発展を達成するためには、化石燃料への依存からの脱却や国民一人一人が気候変動による影響に適応していくことのできるシステムの構築・強化とともに、成長戦略や人々のライフスタイルなどに革新的かつ変革的な転換、すなわちトランスフォーメーションを起こすことが求められているのです。そのような中で、太平洋島しょ国GXプロジェクトは再生可能エネルギー技術の導入を通じたエネルギーの脱炭素化を促進し、それぞれの国でのGX推進を目的としています。

 

各国での取り組み

パプアニューギニア

パプアニューギニアでは、多くのコミュニティが起伏の激しい辺鄙な山岳地帯に位置しており、これらのコミュニティへのグリッド電力の供給は複雑で費用が掛かります。太平洋島しょ国GXプロジェクトのもとで、ブーゲンビル自治区に太陽光発電施設3か所を建設し、オフグリッドの再生可能エネルギーをより手頃な価格でコミュニティに提供するとともに、この電力を活用して特に女性や若者の生産性や生計向上を図ることを目指します。

サモア

サモアの輸送・交通セクターは化石燃料への依存度が非常に高く、国内の二酸化炭素(CO2)の最も大きな排出源となっています。サモアがパリ協定への貢献目標を達成するためには、再生可能エネルギーへの迅速な転換を通じてゼロ・エミッションに向けた取り組みを陸・海運ともに推進することが求められています。太平洋島嶼国グリーントランスフォーメーション・プロジェクトは、電動自動車と小型漁船の船外モーター(内燃エンジン)の導入を通じて、サモアが環境にやさしい低炭素交通システムへ移行することを支援します。

 

東ティモール

東ティモールでは、再生可能エネルギーの導入と低炭素技術の活用により、ディーゼル燃料の消費を削減し農村コミュニティを強化することを目指しています。この目標を達成するために、本プロジェクトは農村地域の1,000世帯に太陽光発電照明と改良型調理用コンロを提供するとともに、国立医薬・医療用品保管センターとコミュニティ医療センターへ太陽光パネルを設置します。また、15の学校でICTラボの修繕や整備を行い太陽光パネルを設置して教育現場での再生可能エネルギーの利用を拡大します。

 

バヌアツ

バヌアツでは、2030年までに再生可能エネルギーによる100%電化を目指しています。しかし、2017年の国勢調査によると、全人口28万人(2017年当時)のうち70%はグリッド電力へのアクセスがなく、さらにこれらのオフグリッド世帯の半分以上はソーラーランタン以外の電力の利用が全くできない状態でした。本プロジェクトは、ピコ水力発電施設を建設しこうした地域へ安定した電力を供給することで、「国家エネルギー転換ロードマップ」の目標達成に貢献するとともに、持続可能なエネルギーの供給を通じたコミュニティの発展を支援します。

太平洋島しょ国GXプロジェクトは、各国が抱える独自の課題に対応しつつ、気候変動に対して強靭な未来を築くための重要な取り組みです。