世界の多次元貧困が2010年以来初めて増加

UNDPとオックスフォード大学による最新の分析で、33か国が15年未満で多次元貧困を半減したことも明らかに

2026年10月16日
Dusty street with houses, a person walking, and smoke rising over distant hills at sunset.
Photo: UNDP Afghanistan/Rob Few

ニューヨーク発- 国連開発計画(UNDP)とオックスフォード大学貧困・人間開発イニシアティブ(OPHI)が本日発表した2026年版「グローバル多次元貧困指数(MPI)」によると、多次元貧困の中で暮らす人々の数は12億人に達し、MPIが開始された2010年以来初めて増加しました。前回の更新時と比較すると、5,150万人の増加となります。 

報告書によると、12億人のうち6億1,700万人が子どもであり、また83%が農村部で暮らしています。一方で、多くの国々では依然として進展が続いており、一部の国では急速かつ大規模な貧困削減が実現しています。これらの結果は、行動を加速させる緊急性と同時に、成果を上げることが可能であることを示しています。

アレクサンダー・ドゥ=クローUNDP総裁は次のように述べています。

 「今回の貧困増加は、世界に対する警鐘です。この数字の背後には、飢餓や教育機会の喪失、安全な水や電力へのアクセス不足など、相互に関連する困難に直面している12億人の人々がいます。この状況は容認できるものではありません。しかし、別の道はあります。私たちは進展が可能であることを知っています。こうした課題に個別ではなく一体的に取り組んできた国々は、断固たる行動によって何が実現できるのかを示しています。」

MPIは所得だけではなく、人々が日常生活の中でどのように貧困を経験しているかを捉える指標です。健康、教育、生活水準の3分野における10の指標のうち、加重ベースで3分の1以上の剥奪状態にある人々を多次元貧困と定義しています。2026年版MPIは、世界人口の78%を占める開発途上地域の108か国を対象としており、多次元貧困の広がりと深刻さについての分析を提供しています。

多次元貧困人口が増加

最新のMPIによると、深刻な多次元貧困の中で暮らす人々は12億人に上ります。同一基準で比較した場合、前回更新時より5,150万人増加しており、2010年の指数導入以来初めての増加となりました。

この増加の一部は人口増加によるものです。今年新たな世帯調査データが得られなかった95か国では、人口推計の更新によって多次元貧困人口が1,580万人増加しました。残りの増加は、貧困率の変化、人口動態の変化、調査間における指標の対象範囲の違いなどが複合的に影響した結果です。

今年新たなMPI推計値が公表された13か国の状況は一様ではありません。5か国では、多次元貧困の中で暮らす人々の割合が有意に減少しました。エジプト、ネパール、タジキスタンでは、貧困率と多次元貧困人口の双方が大きく減少しています。アンゴラとザンビアでは、貧困率そのものは低下しましたが、人口増加が貧困削減を上回ったため、多次元貧困の中で暮らす人々の総数は増加しました。

ナイジェリアは、進展がいかに脆弱であるかを示しています。2010年代には多次元貧困の大幅な改善が見られたものの、2020年代にはその流れが反転し、貧困率と貧困人口の双方が増加しました。

多次元貧困削減は可能であることを示す成果

SDGs ターゲット1.2は、2030年までにあらゆる形態の貧困の中で暮らす男性、女性および子どもの割合を少なくとも半減させることを目指しています。2026年版MPIは、この目標の達成が容易ではない一方で、依然として実現の可能性を示しています。

MPIの時系列データが利用可能な89か国のうち、33か国が15年未満でMPI値を半減させています。その中にはサブサハラ・アフリカの6か国も含まれます。エスワティニでは15年間で特に大きな進展が見られ、多次元貧困の中で暮らす人々の割合は38.7%から8.0%へと低下しました。

利用可能なデータがある国の中で最も急速な改善を達成したのは中国で、MPI値をわずか4年間で半減させました。多次元貧困の中で暮らす人々の割合は、2010年の9.5%から2014年には4.2%へと低下しています。また、ベトナムも7年以内にMPI値を半減させるなど、急速な進展を遂げています。

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UNDPについて:UNDPは貧困や格差、気候変動といった不正に終止符を打つためにたたかう国連の主要機関です。170か国において、人間と地球のために総合的かつ恒久的な解決策を構築すべく、様々な専門家や連携機関からなる幅広いネットワークを通じ支援を行っています。

 OPHIについて:オックスフォード貧困・人間開発イニシアチブ(OPHI)は、全世界の効果的な政策立案に参考となる指針を提供するため、オックスフォード大学を拠点に、貧困とウェルビーイングの多次元的測定に取り組む研究機関です。