紛争の被害地域における経済機会の社会的な安定と安全への貢献

日本政府の支援のもと、紛争の影響を受けたナイジェリア北東部および中央帯のコミュニティへの社会の安定と治安に関する支援(2021年3月〜2022年3月)

2023年8月17日

自身の焦点で香料入りワセリン製品を販売するアイシャ・アブバカルさん

UNDP Nigeria

19歳のアイシャ・アブバカルさんは、故郷であるナイジェリア北東部・ヨベ州ポティスクムの町が数年前に暴徒に襲撃された時のことを、心を痛めながら以下のように振り返りました。

「私は、自爆攻撃から標的を定めた待ち伏せ攻撃まで、複数の攻撃を覚えています。誰にとっても悲惨な経験でした。私たちは1日中家にこもっていました。ほかに行く所がなかったからです。結果は私たちのコミュニティにとって破滅的なものでした。私の両親は事業と財産を失い、家族を養うために苦労しました。」

2009 年以降継続しているナイジェリア北東部における紛争の結果、 数百万人の人々が生計を立てる機会を失いました。個人も家族も家計のやりくりに苦労し、コミュニティが生き残るには人道的支援に頼らざるを得ませんでした。

アブバカルさんは、仕立て、美容、革の生産、編み物、仕出しなど、コミュニティに関連する職業に関する8週間の研修の参加者に選ばれた、ポティスクムに住む125 人の若者の1人です。研修プログラムを修了すると、新たな事業の立ち上げや既存のベンチャーを支援するための現金による助成金が若者たちに支給されます。

アブバカルさんが選んだ職業は美容でした。彼女は今、香料入りワセリンの販売会社であるナジーファト・プロダクト社の誇り高い経営者です。

「私は、利益を上げることによって看護学校に通うのに十分な貯金をしたり、両親が家族を養うのを助けたりすることができています」

アブバカルさんは今後事業を拡大する計画を持っているため、自身の店と生産施設の拡大を目指して働き続けることを望んでいます。その日の開店準備をしながら、アブバカルさんは以下のように語りました。

「このような機会はめったにありません。私は、学んだことを生かしてコミュニティで暮らすさらに多くの若い女性に力を与え、訓練する計画を持っています。私の経験が、他の人たちの刺激になることを願っています。」

 

<プロジェクトについて>

本プロジェクトの目的は、ナイジェリア北東部と中央帯にある紛争の影響を受けたコミュニティにおいて、統合したコミュニティ平和構築・復興アプローチを用いて社会の安定とテロ対策を支援することでした。

本プロジェクトでは、生計と経済的機会、基本的サービスへのアクセス、ローカル・ガバナンス、社会的結束とコミュニティの安全保障という4つの相互に関連する分野で対象コミュニティを支援しました。

本プロジェクトの結果、2地域にまたがる6州の紛争による影響を受けたコミュニティで社会の安定と安全保障が改善され、紛争からの早期復興プロセスが加速されました。

 

<主要な結果>

  • 4311世帯の生活が向上
  • 1000人の若者が職業訓練とスタートアップ助成金によりスキル獲得
  • 14000人が基本的サービスの改善の恩恵を享受
  • 48人の地方自治体職員が効果的なガバナンス能力を強化
  • 1000人のコミュニティ住民がジェンダーに基づく暴力(SGBV)予防の研修を受講
  • 112件のSGBV事例が、対応する現地の予防メカニズムに付託 

 

<主要パートナーとしての日本とUNDP>

本プロジェクトを通して、UNDPと農水・土地改革省は、日本電気株式会社と提携し、同社の技術を利用した電子バウチャー情報管理システムを設計・導入しました。

日本の継続的な支援によって、UNDPと日本によって支援されているプロジェクトはSDGsの2030年達成を目指すアジェンダの実現にアフリカ大陸の様々な地域で貢献をしており、革新的な方法によって複雑な危機状況において市民たちをエンパワメントしています。

アフリカ開発会議(TICAD)は1993年に始まり、アフリカ開発における意見交換やパートナーシップのための主要なフォーラムとしての役割を果たし続けています。30年以上にわたって、アフリカと日本の双方で開催された計8回のサミットと、複数回の大臣級会議を重ねてきました。

実施プロジェクトは、経済・社会・平和の3分野に分類されます。日本とUNDPは協力者として、革新的なソリューションの考案やコミュニティへの支援を通じて、持続的かつ包括的で、全ての人々に安全と幸福が保障される未来を目指して活動していきます。