ビジネスと人権

企業の人権を尊重する責任に関する世界的な議論は、市民社会からの強い働きかけ、投資家の関心、消費者の圧力、規制を要求する声により、この10年間で急速に高まっています。2011年に承認され、最も権威があり広く採用されている責任あるビジネスのための諸原則である国連ビジネスと人権に関する指導原則(UNGPs)の中核を成す、人権方針の策定、人権デュー・ディリジェンス(HRDD)の実施、事業レベルのグリーバンスメカニズムの導入により、この要請に応える前向きな企業がますます増えてきています。

主要経済国では、すべての企業が人々への負の影響を特定、防止、軽減し、責任を負うことを義務付けるデュー・ディリジェンス規範を採用し、指導原則を具現化していく流れがあります。

この3年間、日本政府はアジアにおけるこの議論の最前線に立ってきました。2020年に「ビジネスと人権に関する行動計画」を採択、2022年9月には「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」が策定されました。

人権デュー・ディリジェンスを実施する能力を高め、より責任あるグローバルサプライチェーンへ貢献する日本のビジネスアクターの関心の高まりを支援するため、UNDPは日本政府と協力し、2022年3月からタイ、ベトナム、ラオス、モンゴル、インドネシア、ネパール、パキスタン、ペルー、メキシコ、チュニジア、キルギスタン、カザフスタン、ウクライナ、トルコ、ガーナ、ケニヤ、モザンビークでの指導原則の実施を支援しています。

私たちのアプローチ

サプライチェーンにおける人権デュー・ディリジェンスの促進による日本企業の競争力維持

  • 日本企業とその関連会社が直面する可能性のある人権リスクを把握するために、責任ある企業活動に関するコンテクスト・アセスメント調査の実施
  • 日本企業とその関連会社向けに、カスタマイズされた人権デュー・ディリジェンス研修を提供する 人権デュー・ディリジェンスや人権影響評価を実施する準備状況について、専門家による初期レビューを希望する日本企業およびそのサプライヤー/パートナーを対象とした非公開のアドバイザリー・セッションの提供 詳細については、ビジネスと人権アカデミーのページをご覧ください。

日本企業の進出先国における、公正な競争条件に向けた責任あるビジネスに関する政策の推進 主要な活動

  • ビジネスと人権に関する国別行動計画(または類似の政策)の採択の提唱、または実施の支援
  • ビジネスと人権に関するベースラインまたは現況の基本評価を行うための技術的支援の提供
  • 政策発展のためのステークホルダー協議および国家間の相互学習機会の促進