開催報告:アフリコンバース2024第2回 「変革の"原動力"としての若者:アフリカとともに行動しよう」

2024年6月24日

パネルディスカッションの様子

Photo: JICA

2024年5月27日(金)に開催したアフリコンバース2024第二回は、アフリカ連合(AU)が制定するアフリカ・デーと上智大学が推進するアフリカWeeksの開催にともない、「変革の"原動力"としての若者:アフリカとともに行動しよう」というテーマのもとに開催し、会場には若いリーダーたちが積極的に参加しました。

今日の世界には19億人の10歳から24歳の若者が生活しており、その90%近くが開発途上国に住んでいます。若者は批判的思考者、変革の主導者、イノベーター、コミュニケーター、リーダーとして社会変革の原動力となっています。特に気候変動やジェンダー平等などの課題において重要な役割を担っており、「アジェンダ2030」の実現に貢献しています。また、アフリカ開発会議(TICAD)が30年の節目を迎える中、今後の持続可能な未来を設計するためにも、アフリカと日本の若者による共創がより重要な役割を果たします。

イベント冒頭のビデオメッセージを通じ、アフナ・エザコンワUNDP総裁補兼アフリカ局は、UNDPのユース・エンゲージメントを強化するためのフラッグシップイニシアティブである「模擬アフリカ連合(AU)会議」の立ち上げを祝い、アフリカと日本の若者が共通の目的に向かい、仲間意識をもって相互理解を育むことへの期待を寄せるとともに、若いリーダーたちがTICADを豊かにするために果たす重要な役割を強調しました。

イベント冒頭のアフナ・エザコンワUNDP総裁補兼アフリカ局からのビデオメッセージ

Photo: JICA

続いて、牧原秀樹衆議院議員(自由民主党国際協力調査会TICADプロジェクトチーム座長)がオンラインで登壇し、約20年間にわたるアフリカとの関わりを振り返りました。牧原議員は、アフリカが急速に成長してきたこと、それに伴い日本とアフリカの関係も援助から対等なパートナーシップへと変化してきたことを述べました。さらに、日本とアフリカの若者が模擬アフリカ連合(AU)会議などを通じて双方の未来を共に創り上げていくことに大きな期待と激励の言葉を送りました。

これを受けて、模擬アフリカ連合(AU)会議実行委員会の大野秀征氏がイニシアティブの詳細を説明しました。模擬AUでは「気候変動」をテーマに議論を行い、各国間の折衝を通じて革新的なアイデアを生み出すことを目指していること、また、参加する学生たちが将来の国際社会でリーダーシップを発揮し、アフリカと日本の架け橋となることが期待されていると述べました。

その後、上智大学の学生二名が初めての短期間のアフリカ滞在を通じて学んだことを紹介しました。齊藤舞氏は、二週間のジンバブエ滞在中、農業部門における女性のエンパワーメントを研究テーマとして設定していました。ジンバブエ渡航前は、日本との文化の違いから、現地の方々に受け入れてもらえるのか不安に感じていたが、渡航後にはムビラやダンス等の現地文化にも積極的に触れ、人々の優しさや温もりを感じることができたと説明しました。

沖和樹氏は、上智大学のプログラムでコートジボワールに渡航し、経済やインフラの発展の度合いや現地の人々のポジティブな明るさに驚いたと述べました。また、よく「アフリカ」と一括りにしてしまうことが多い点について触れ、アフリカ諸国内にも多種多様な文化や民族が存在していることを強調するとともに、現在はアフリカ教育に携わる国際NGOにてインターンシップ中であることに言及しました。

牧原秀樹衆議院議員のメッセージに耳を傾ける参加者たち

UNDP Africa

その後のパネルディスカッションでは、アフリカに関わる活動を実施している若手リーダーを迎え、アフリカクエストやアクセルアフリカという活動を通じて若者のためのコミュニティ作りや研修プログラムを運営している株式会社アクセルアフリカCEOの横山裕司氏がモデレーターを務めました。

休場優希氏は、JICAで働く傍ら、昨年複数のユースと共にAfrica Asia Youth Nestを設立しました。日本とアフリカの若者たちの共創の場を広げるために、Africa Diaspora Network Japan(ADNJ)と協力し、来年開催予定のTICAD9に向けたユースの行動計画をまとめ、政策提言につなげていく活動をしています。休場氏は、この活動を通じて、ADNJと対等な立場での共創をする機会を得たと言います。アフリカの方々の視点を知ることは、世界や将来への視野を広げる機会になったと語り、またJICAという政策策定に近い立場で働く経験が本活動に活きており、今後もパブリックの立場からこのような活動に続けていきたいと述べました。最後に、会場の参加者に向けて、アフリカに関わり、興味を持っている人の背中を押し、若者主体のイニシアティブを盛り上げていってほしいと呼びかけました。

上智大学アジア文化研究所の研究員であるレイバン・キティンジ・キニュア氏は、自身が受け持つクラスでの活動について語りました。キニュア氏は、学生たちがアフリカに対する偏見を払拭し、データと事実に基づいた建設的な議論を行う場を提供しています。教えることに情熱を持つキニュア氏は、日本での生活やクラスでの経験が新しい視点を得る機会となり、自己を見つめ直すことに繋がったと述べました。また、今後も多様性や変化を受け入れながら活動を続けたいという意気込みを示し、アフリカへの偏見や先入観を払拭するためには、実情を知り、継続的に学ぶことが重要であると強調しました。

東京大学学生である齊藤花・ジェニファーイフォナイア氏は、レイシズムスタディーズや日本に住むアフリカルーツの人々の経験に関心を向け、African Youth Meet up Japanという団体で日本に住むアフリカルーツを持つ若者を結びつける活動をしていることに言及し、依然としてアフリカや黒人系の人々に対する偏見が残る中で、アフリカにルーツを持つ子供たちが集い、自己表現ができるようなプラットフォームを提供していると述べました。

齊藤氏は、ナイジェリアでの滞在経験が自己理解を深める契機になったと述べ、ミックスルーツを持つ人々が自身のファッションやカルチャー、アイデンティティをより深く知覚できる機会やコミュニティを作りたいという思いにつながったと説明しました。今後は、アフリカにルーツを持つ人だけでなく、より多様な人々を包摂したコミュニティ作りや自身の勉強を深めていきたいこと、先入観を打破し、当事者の話を自分の耳で聞いてみることがアフリカと日本の将来を切り拓いていくと強調しました。

閉会の挨拶では、JICAアフリカ部次長の上野修平氏が、自身の長年のアフリカでの経験を踏まえながら日本とアフリカの若者による共創が広がることへの期待を述べた後、アフリカ連合委員会女性・ジェンダー・青少年局長のプルーデンス・ングウェンヤ氏からの祝辞を代読しました。メッセージでは、「アジェンダ2030」の達成において、社会経済変革の原動力として若者の重要性が強調された点に触れ、模擬アフリカ連合(AU)会議が若者たちの協力を促進するプラットフォームとなり、TICADが目指すアフリカと日本の未来につながっていくと期待を寄せました。

アフリコンバース第二回では、若手リーダーが中心となり、現地で感じたことや得た学びを共有しながら、今後、日本とアフリカの関係を強化しより良い未来を共に築くためには、両者が偏見や先入観を打破し、当事者の話を互いに聞き、現地に直接関わることが重要であると強調されました。