日本とUNDP、東ティモール国立医薬・医療用品保管センターを太陽光電力の未来へと導く

UNDPと東ティモール政府が日本政府の支援を受け、国立医薬・医療用品保管センターへの太陽光発電設備導入を開始‐グリーントランスフォーメーション推進への足掛かりに

2024年11月21日
a circuit board

東ティモール国立医薬・医療用品機関(INFPM、旧SAMES)の保管センターのソーラー化の完成予想図

Photo: UNDP Timor-Leste

2024年9月24日、UNDPと東ティモール政府は、首都ディリにある東ティモール国立医薬・医療用品機関(INFPM、旧SAMES)保管センターへの太陽光発電設備導入の開始を記念したイベントを開催しました。INFPMへの太陽光電力の導入は、日本政府による資金提供を受けUNDPが実施している「気候に対して強靱な発展及びネット・ゼロに向けた太平洋地域におけるグリーン・トランスフォーメーション推進計画(太平洋島しょ国GXプロジェクト)」の対象事業の一環です。本プロジェクトは2023年に開始され、2025年まで実施される予定であり、対象国の一つである東ティモールでは再生可能エネルギー導入の促進を通じて持続可能で包括的な発展を目指しています。

 INFPMは国内の公共医療施設に供給される医薬品類を保管していますが、安定的な電力の供給が重要とされる一方、電力インフラの脆弱性により頻発する停電が課題となっています。その様な中、UNDPによる太陽光パネルの設置はINFPMに対する安定した電力供給を可能にします。電力のソーラー化は医薬品やワクチンなどの最適な保管を可能にするだけではなく、電力に関する運営コストの削減、INFPMのカーボンフットプリントを縮小化し、より環境にやさしい未来に貢献します。

 UNDP東ティモール事務所副代表のアデリーン・キャリアはINFPM、さらには東ティモール全体でのグリーントランスフォーメーション推進の重要性を強調し、東ティモールがより持続可能な未来に向けた対策を進め始めている中で、この事業は大きな節目であると述べました。気候変動による厳しい影響を国や地方など様々なレベルで受けている中、「私たちは重要な岐路に立っています。再生可能エネルギーを活用し、温室効果ガスの排出量を削減し、持続可能で環境にやさしい生活やビジネス慣行を採用する必要があります。(そうすれば)東ティモールは、気候変動の影響を緩和し人々やコミュニティにとってより強靭な未来を築くことに貢献できるでしょう」と強調しました。そして、「このプロジェクトは、東ティモール政府、日本政府、UNDPのパートナーシップの力を示すものです」と付け加えました。

a group of people posing for the camera

東ティモール国立医薬・医療用品機関(INFPM、旧SAMES)の保管センターのソーラー化の開始を記念したイベントを開催

Photo: UNDP Timor-Leste/ Clara Santos

この記念イベントには、木村徹也 在東ティモール日本国大使アデリーン・キャリア UNDP東ティモール事務所代理代表サムエル・マルサル 東ティモール公共事業大臣ジョゼ・ドス・レイス・マグノ 保健制度強化副大臣が出席しました。INFPMのエグゼクティブ・ディレクターであるブリジド・シマオ・デ・デウス氏はこれらの要人の出席を歓迎するとともに、各方面での気候行動と持続可能性を推進するための協力の重要性を改めて強調しました。

「INFPMは東ティモールの人々に医薬品を供給する国の医療倉庫として非常に重要な役割を果たしています。したがって、この施設の運営が太陽光パネルの設置により安定したエネルギー供給で強化されることを嬉しく思います。今年は日本と東ティモールの協力25周年を迎える年です。信頼できる友人として、日本は東ティモールへの支援を継続することを約束しています。共に、持続可能で強靭な未来を築いていきましょう」と、木村徹也大使は述べました。

サムエル・マルサル公共事業大臣は、日本政府とUNDPに対する深い感謝の意を表し、再生可能エネルギーの重要性を訴えました。「(本事業により)これから設置されるソーラーパネルは、私たちの電力課題を解決し持続可能なエネルギーを確保するのに役立ちます。東ティモールは大きな可能性を秘めた国であり、太陽光発電を適切に活用することで、電力コストを30~40%削減できます」と述べました。

「私たちは、日本政府とUNDPに感謝しています。特に地方の医療施設におけるソーラーパネルの設置は、医療従事者が重要なサービスを提供し、医療品を適切に、そして環境にも考慮して保管、使用するのに大いに役立ちます」とジョゼ・ドス・レイス・マグノ保健制度強化副大臣は支援への感謝を表明しました。

INFPMのエグゼクティブ・ディレクターであるブリジド・シマオ・デ・デウス氏も、日本国民とUNDPによる取り組みに感謝し、「UNDPと日本政府からのこの支援は、特にワクチンのような保管に細心の注意を払わなければならない医薬品類のエネルギー需要に対応できる絶好の機会です。安定した電力へのアクセスは非常に重要であり、INFPMを代表して感謝申し上げます。」と述べました。

日本政府からの総額51.05億円(約37.5百万ドル)の資金提供により、UNDPが実施している「太平洋島しょ国GXプロジェクト」は、パプアニューギニア、サモア、バヌアツ、東ティモールの4つの小島嶼開発途上国(SIDS)を対象としており、再生可能エネルギーの力を通じて気候変動の影響を軽減し、コミュニティが気候リスクに対処し、強靭性を高め、包括的かつ持続可能な方法で適応できるよう支援することを目的としています。東ティモールでは、プロジェクトに5.78万米ドルの資金が割り当てられており、マナトゥト、マヌファヒ、アイナロの各県の自治体で3つの主要な成果が実施されます。一つ目の成果は、国の電力網に接続されていない1,000世帯にソーラーエネルギーへのアクセスを提供、及びに薪の使用量とその危険性を減らす改善された調理用ストーブが提供されます。また、医療サービスの向上のためにINFPMと地方の2つの医療センターにソーラーパネルを設置します。そして、15の学校にてICT教室の改修とソーラーパネルの設置が行われ、デジタル教育と学習が促進されます。INFPMの電力のソーラー化は、2025年3月までに完了する予定です。

a group of people standing in front of a crowd

メディアインタビューに答えるのジョゼ・ドス・レイス・マグノ保健制度強化副大臣

Photo:UNDP Timor-Leste / Maria Silvia D.R. Lopes