日本とUNDP、ウクライナの都市へ重要エネルギー機材を供与

供与されたエネルギー関連機材は、ハルキウ市とオデーサ市の住民に、安定した暖房、電気、水道供給へのアクセスを提供

2024年11月17日
a man standing in front of a group of people posing for the camera
Photo: UNDP Ukraine / Kseniia Nevenckenko

キーウ、2024年11月17日 – 国連開発計画(UNDP)ウクライナと長期的な戦略的パートナーである日本政府は、ハルキウとオデーサの両都市に重要なエネルギー関連機材の提供を共同発表しました。ウクライナ・エネルギー省と連携して実施される本共同事業は、特に冬季に重要なサービスを確保し、地域のエネルギーインフラ体制を強化することを目的としています。

本事業は、ウクライナが2024年前半に重要なインフラへの標的型攻撃により9GWの電力を失っており、ハルキウやオデーサ等主要都市部にて深刻な混乱が生じている中、非常に重要なタイミングで実施されました。

ハルキウ市への支援には、15台の可変周波数ドライブ装置と16MWのガスタービンの納入が含まれます。これら電力関連機材は、市の重要なインフラ施設にとって不可欠なものです。可変周波数ドライブ装置は、ハルキウ市の水道事業者が、サービス中断のリスクが低い、高い信頼性とともに費用対効果の高い給水システムを確保することに貢献します。一方、ガスタービンは、エネルギー源を提供することで、ハルキウ市内の熱供給が途切れるないよう体制構築に貢献します。

オデーサ市では、3.3MW容量のガスピストン式熱電併給設備2台が市内に配備されます。新規2台の熱電併給設備供与は、最近日本政府の資金拠出でUNDPが支援した2台に加わることとなり、オデーサ市の総発電容量は13.2MWとなり、水道、暖房、下水道サービスを含む市の重要なインフラのエネルギー需要の約50%を確保することに貢献します。

さらに、独立行政法人国際協力機構(JICA)の支援により、総容量28MWの発電機32台が「ハルキウ・ヴォドカナル」水道公社に納入され、国の送電網が混乱した場合でも、継続的な給水のための安定したエネルギー供給が確保されます。

機材供与の発表は、2024年11月16日にキーウを訪問した岩屋毅 新外務大臣の訪問の機会に行われました。岩屋大臣は、ウクライナ支援の重要性を強調し、「ロシアによる全面侵攻開始より3度目の冬を迎えるウクライナにとって、同国への越冬支援は極めて重要である」と述べました。また、岩屋外務大臣、日本政府が引き続きウクライナ政府を支援し、同国の効果的な復旧・復興に向けた協力を強化する旨を繰り返し強調しました。「日本がハルキウ市とオデーサ市のエネルギーインフラ設備を提供することに協力したUNDPとJICAに特別な感謝の意を表したい。我々はウクライナにさらに多くのエネルギー設備の支援を行う準備を進めている」と岩屋外務大臣は言及しました。

ウクライナ・エネルギー大臣であるヘルマン・ハルシチェンコ氏は、国際支援に感謝の意を表し、「UNDPと日本政府が協働して、ハルキウ市とオデーサ市の住民のニーズに対応することを可能とする支援を頂いたことに感謝します。両都市の発電施設の増強により、今冬における電気と熱供給の信頼性が向上します」と述べました。

クリストフォロス・ポリティスUNDPウクライナ事務所常駐副代表は、ウクライナのエネルギーインフラの復旧と変革に向けたウクライナ政府の継続的な取り組みをUNDPが積極的に支援していることを強調した。「家庭への給水や産業への電力供給から国家安全保障の支援まで、エネルギーは国民と経済にとって不可欠なものです」とポリティス副代表は述べました。「ウクライナのエネルギー部門の回復力と持続可能性を強化することは、引き続きUNDPの最優先課題です。日本との戦略的パートナーシップを通じて、UNDPは必要不可欠なエネルギー関連機材を提供し、これまでの協力を通じて既にウクライナ全土で600万人以上への恩恵をもたらしています」とポリティス副代表は言及した。

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岩屋毅 外務大臣 (右)とクリストフォロス・ポリティスUNDPウクライナ事務所常駐副代表 (左)

Photo: UNDP Ukraine / Kseniia Nevenckenko

オデーサ市のゲナディー・トゥルハノフ市長は、困難な状況と攻撃が続く中にもかかわらず、オデーサ市の努力で自立的なエネルギーシステムを構築する決意を固めており、そのための継続的な支援の必要性を述べ、「一番初めに、私たちを支えてくれた日本と姉妹都市の横浜市、UNDPの皆様、そしてこの取り組みに加わってくれたすべての国々に深く感謝しています。私たちは力を合わせて、オデーサ市が今後も繁栄し、活動を継続し、世界との関係を強化できるよう、回復力の基盤を築いていきます。これがウクライナの経済を支え、文明世界のグローバル経済に貢献し、最終的には民主主義の力を強化することになるでしょう」と言及しました。

ハルキウ市のイゴール・テレホフ市長は、国際支援の重要な役割を強調し、「ロシアによる全面的な侵攻が始まって以来、ハルキウ市は想像を絶する困難に直面してきました。容赦ない砲撃、重要インフラの破壊、住民の生命に対する絶え間ない脅威などが続いています。この危機的な時期に私たちと共に立ちあがり、私たちのコミュニティを支援するという確固たる決意を貫いている日本政府、UNDP、JICAの揺るぎない支援に深く感謝しています」と述べました。

背景:

2024年3月22日から8月31日の間に、ロシア軍はウクライナの電力システムに対して9回にわたる大規模な攻撃を行い、多数の発電、送電、配電施設が損害を受け、また破壊されました。

2024年3月22日から8月31日までの期間、ロシアはウクライナの電力システムに対して9波の標的型攻撃を開始し、多数の発電、送電、配電施設を損傷または破壊しました。2024年のみで、ウクライナは9GWの電力を失いました。これらの月の間に、ウクライナはさらに9GWの発電能力を失いました。

日本政府はウクライナにおけるUNDPの最重要パートナーの1つであり、ウクライナの重要インフラ復旧のため関連機材供与のために、ロシアによる侵攻開始後、継続的に資金拠出を実施しています。これまで日本政府とUNDPは、高性能ガスタービン3基、複数の高電圧自動変圧器、ガスピストン熱電併給システム 2基を提供し、ウクライナのエネルギーインフラの復旧のため協力してきました。