日本とUNDPがイランの湿地管理と気候強靭性の強化に向け協力
2024年12月2日
2024年12月1日、塚田玉樹駐イラン・イスラム共和国日本国特命全権大使と、グルバハール・ネマトバ国連開発計画(UNDP)イラン事務所副代表兼代表代理は、無償資金協力「オルミエ湖その他の湿地及び周辺地域における湿地保全体制整備計画(供与額6.90億円)」に関する書簡に署名しました。
日本は2014年以来、湿地流域における持続可能な自然資源管理を支援し、湿地に依存するコミュニティの生計を多様化する上で、イラン政府とUNDPの重要なパートナーです。
本プロジェクトはウルミア湖、シャデガン湖、パリシャン湖、アンザリ湖の湿地管理を強化し、気候変動に対する強靭性を高めることを目的として、2024年から2028年まで、イラン政府環境局に加えて、国連食糧農業機関(FAO)と協力して実施します。さらに、これまでの成果を基に、試験的に実施されたモデルの拡大にも取り組みます。気候変動に適応した持続可能な農業と代替生計に焦点を当てることで、重要な生態系である湿地の生物多様性を保全しながら、地域社会に長期的な利益を生み出すことを目指します。
UNDPイラン副代表のグルバハール・ネマトバは、「過去10年間にわたる日本国民と日本政府からの揺るぎない支援は、対象地域の農業生産性と生計向上に大きな影響を与えてきました。今後4年間、私たちは革新的で水資源を効率的に利用する農業の実践を引き続き推進し、すべての人にとってより良い未来のために、その適用規模の拡大を目指します」と述べました。
駐イラン・イスラム共和国日本国特命全権大使の塚田玉樹氏は、「イランには、ウルミア湖を含むラムサール条約に登録された26の貴重な湿地があります。多様な生物種や渡り鳥の生息地であるこれらの湿地は、国際社会と協力して保全されなければなりません。過去10年間、日本はウルミア湖の保全支援を行ってきましたが、さらなる湿地回復のためには、制御不能な取水の管理、気候変動に適切に対応した灌漑システムの開発、エコツーリズムなど持続可能な産業の創出が不可欠です。このプロジェクトの対象地域に加え、その知識と技術がイランの他の湿地帯でも活用され、湿地周辺地域の環境保護と経済発展に貢献することを期待します」と述べました。