日本のODA70周年の節目、SDGs達成と複雑化する危機に対処するために連携を強化
「連帯」と「共創」で持続可能な未来を
2025年1月7日
東京発 —アヒム・シュタイナー国連開発計画(UNDP)総裁は2日間の訪日を終えました。シュタイナー総裁は訪日中、「国際協力70周年記念シンポジウム」に出席するとともに、日本の政府高官や国会議員、経済界、学術界のパートナーとも会談、さらにはユースとの交流を通し、 SDGs達成の目標年である2030年まで6年と迫る中、持続可能な未来を共創すべく、 UNDPと日本のパートナーシップの強化を図りました。
2024年は、1954年に日本が政府開発援助(ODA)を開始してから70年の節目の年でした。外務省、国際協力機構(JICA)、UNDPの共催により「国際協力70周年記念シンポジウム」が12月17日に開催され、「共創と連帯、そして未来へ~自由で開かれた国際秩序と新たな時代の開発協力」をテーマに、日本政府、パートナー国、JICAや民間や非政府組織 (NGO)、学術界からの有識者等の参加により、未来の開発協力について話し合いました。
シンポジウムでは、日本の開発協力の歴史を振り返るとともに、昨年改定された開発協力大綱を踏まえ、新たな時代の開発協力の可能性を議論する場となりました。シュタイナー総裁は、「日本は70年に渡り、世界の開発協力を先導し、戦後復興した国としての知見を活かした防災や気候変動、保健、危機対応、平和構築など多岐にわたる日本の貢献は、世界各国にとってかけがえのないものです」と述べました。地球規模の問題は、未だかつてなく複雑に絡み合いながら広がる中、ますます多くの人々が不安感を募らせており、開発協力にとって厳しい局面を迎えています。このような中、日本が世界で主導してきた「人間の安全保障」は、改定された開発協力大綱でも基本方針に据えられており、これまで以上に、開発協力の重要指針であり続けること、UNDPは日本及び国際社会とさらに連携を推進することを強調しました。
シュタイナー総裁は訪日中、岩屋剛外務大臣、及び赤堀毅・外務審議官と会談し、日本によるODA70周年のお祝いをするとともに、UNDPの重要ドナーである日本の確固たるリーダーシップと戦略的パートナーシップに感謝の意を表しました。会談では更に気候変動、紛争、保健など地球規模の課題や、開発協力に必要な資金動員のための取り組みや民間セクターとの重要性を話し合いました。JICA田中昭彦理事長との会談では、人間の安全保障の推進に関する知的連携やアフリカ開発会議(TICAD)における協力を確認しました。さらに、岸田文雄前総理大臣と会談し、UNDPによる日本政府との連携の成果や今後のビジョンを共有しました。武見敬三参議院議員との会談では、グローバルヘルス推進に関するビジョンを共有したほか、斉藤鉄夫公明党代表とも会談し、ウクライナ、ガザ、アフガニスタン等における紛争後社会の平和構築の重要性を共有しました。
一橋大学とUNDPが共催した講演会では、SDGs達成まで6年をきる中、シュタイナー総裁は今年9月の未来サミットで採択された「未来のための協定」に触れ、残された時間でSDGsを推進する中でデジタル技術、民間資金の動員、気候変動へのグリーントランスフォーメーション(GX)、「人道・開発・平和の連携(HDPネクサス)」による紛争や危機への対応などを語りました。
シュタイナー総裁は、UNDP主催イベント「若者 ×(カケる) 未来 〜SDGs達成に向けた世代間コラボレーション」に登壇し、日本を含むアジア・太平洋地域で若者による社会起業を推進するYouth Co:Labや、アフリカ事業化支援のMeet the Toshikasといった、UNDPの若者を中心とした取り組みや教訓について取り上げ、「SDGsを達成するためには、世代を超えた連携により持続可能な未来を共創すること、また社会・経済活動および政策における若者参画を確保することは有意義でインパクトのある変革の促進に極めて重要」と強調しました。
シュタイナー総裁は以下のように日本の国際協力、そして未来の開発について以下のように述べました。
「日本政府による長年のUNDPに対する協力に深く感謝します。それと共に、世界の危機が複合化また複雑化する中、日本とUNDPが人間の安全保障の原則とともに開発協力に取り組むことは、これまで以上に重要となっています。日本の70年にわたるODAの実績は、人々にとって勇気を与えてくれる光です。それは、今日私たちが行っている世界各地での支援や投資が、未来の世代に残る遺産になるという確かな希望であることを示しているのです。」