人間開発報告書1994 「人間の安全保障」
人間開発報告書1994 「人間の安全保障」
1995年1月15日
「人間開発報告書 1994」は、人間の安全保障という新しい概念について詳しく解説しています。つまり人は誰でも、家庭や職場、地域社会、あるいは環境において安心していられる、人間の安全保障に焦点を当てています。そのような安全保障の考え方のもとにすべての人、すべての国が一体化するのですが、それは持続可能な人間開発計画を通してのみ実現可能であり、決して強力な武装によって実現するものではありません。この報告書では人間の安全保障に関する新しい指標を示すことによって、近い将来には問題を抱えこむことになりそうな国に対して早めに警告を出し、国際社会に対してはそのための予防外交、予防開発を進めるように勧告します。
本年度の報告書では、1995年3月にコペンハーゲンで開催される「社会開発に向けての世界サミット」でとりあげられそうな重要な課題と取り組んでいます。本書は社会開発サミットを考慮に入れ、以下の具体的な六つの柱を立てました。すなわち世界社会憲章、人間開発20-20協定、平和への配当の確保の方法、「人間の安全保障のための国際基金」を強化した国連の傘下で人間開発、そして小k連の経済安全保障理事会の設立などです。
今年度の報告書では、特集として、これらの問題に関する対話を地球規模で盛り上げるために5人のノーベル賞受賞者の特別寄稿をいただきました。
今までと同様に、本報告書では、最新のデータと、より厳選な方法を用いた人間開発指数(HDI)に基づき、すべての国に順位をつけました。付属資料には173ヵ国に及ぶ最新の人間開発指標が掲載されています。本書では、さらにHDIを人口別、地域別に組み替えた資料、および9ヵ国(ブラジル、カナダ、中国、エジプト、ドイツ、マレーシア、ナイジェリア、ポーランド、南アフリカ)のケーススタディも紹介します。