太陽光発電設備を設置し、カメルーン最北部に位置するヘルスセンターに活気を取り戻す
2023年3月2日
チャド湖周辺地域の暴力に対処するため、UNDPはカメルーンを含む4カ国(チャド、ニジェール、ナイジェリア、カメルーン)を対象とする地域安定化ファシリティを設立しました。
「病院が破壊された後、検査室を稼働させるための電力が不足し、 診察が不可能になりました。患者は26キロ離れたモラ病院まで検査に行かなければなりませんでした。」ディガ・マハマット医師 アンキデヘルスセンターチーフ
アンキデはカメルーン最北部にあたり、ナイジェリア・ボルノ州と国境を接するコミュニティです。2014年にチャド湖周辺で暴力事件発生の際、最も影響を受けたコミュニティのひとつでした。多くの人が死傷し、インフラにも甚大な被害が出ました。近隣の13以上の村にサービスを提供しているこの地域の医療拠点であるアンキデヘルスセンターも、破壊されたインフラの一つでした。
「保健センターは機能しなくなりました。村は、人々が戻り始める2017年頃まで、ほとんどさびれた状態でした。」ラワン・マイナ氏 アンキデの地域の指導者
チャド湖周辺での暴力に対処するため、UNDPはカメルーンを含む4カ国を対象とした「地域安定化ファシリティ」を設立しました。2021年以降、カメルーン・ファシリティは、同国政府および日本を含むドナーとの協力のもと、コミュニティの生活再建を支援しています。このプロジェクトでは、日本からの資金提供により、アンキデヘルスセンターに太陽光発電設備を設置し、その管理を行う現地委員会を設置しました。「ヘルスセンターに設置された太陽光発電設備は高品質で、ヘルスセンターとその機材を十分まかなえる電力容量を持っています。」 と、地域安定化ファシリティ・カメルーン代表のクリストフ・シャルボン氏は説明します。
この支援を通じて、以前は保存状態が悪くなっていたワクチンを良好な状態で保存できるなど、病院の効率化に大きく貢献しました。「検査室がスムーズに動き、冷凍庫が完璧にワクチンの鮮度を保つことで、日中でも夜でも質の高い医療を提供できるようになりました」ディガ・マハマット医師は説明します。また、ラワン・マイナ氏は「医療サービスを受けるために長距離を移動することは、人々にとって危険なことでした。現在では、健康診断や治療のために何キロも移動することはありません」と嬉しそうに語ります。
太陽光発電設備の設置は、保健所の生産性を回復させただけでなく、患者数を3倍に増やすことにも寄与しました。「このプロジェクトが導入される前は、2人の出産を含む週に平均100人の患者さんのみでしたが、常時電気が供給されるようになり、今では週に300人以上の患者と13人の出産を受け入れています」とディガ医師はさらに説明します。
UNDP、日本、その他のパートナーや関係者は、ヘルスセンターを含む地域のコミュニティ設備拡充に対して支援をしてきましたが、地域の安定化を最適化するためには、まだ埋めなければならないギャップが残っています。「UNDP、日本、その他の組織からの支援に感謝しつつ、病院のニーズが高まっていることを、恐縮ながらお伝えさせてください。増加する患者数に対応するためには、病床やその他の資材、特に検査室が必要です」と、ヘルスセンター長のディガ・マハマット医師は訴えます。
病院の支援に加え、日本による資金援助はUNDPカメルーン事務所の地域安定化ファシリティを通して様々な活動も許容しています。例えば対象地域における治安や必須インフラ、基本サービスの提供、さらには、女性支援センター、家畜・漁業事務所、牛床、ソーラー発電式ポンプ型井戸などのような生活基盤となるインフラ整備が含まれます。
「日本や他のドナーからの資金援助をもとに、この地域にある21コミュニティに対して「より良い復興(#BuildingBackBetter)」のための支援を実施、また、関係機関や被害を受けたコミュニティと協力しながら、最も深刻なものから順に適切なニーズを特定し対応していきます」とクリストフ・シャルボン氏は述べます。