UNDPと日本、ウクライナに高電圧単巻自動変圧器を供与

50万人以上への安定したエネルギー供給を確保

2023年10月6日
Photo: UNDP Ukraine / Ksenia Nevenchenko

キーウ発 − 国連開発計画(UNDP)ウクライナ事務所は、日本政府からの寛大な資金援助を受け、ウクライナ・エネルギー省および国営電力会社ウクレネルゴとの緊密な協力の下、新たに高電圧単巻自動変圧器2基を調達し、ウクライナに供与しました。

高電圧単巻自動変圧器は、送電線の電圧を調整する変電所に不可欠な装置です。電気は高電圧で送電されますが、消費者に配電するには低電圧に変換する必要があります。高電圧単巻自動変圧器はこの作業を自動的に行うことができます。このような変圧器がなければ、送電網を通じて、家庭やその他のエンドユーザーに電気を効率的に供給することができません。

UNDPが2023年6月に発表したエネルギー被害アセスメントによると、民間インフラへの攻撃により、ウクライナの発電能力は約半分(51%)、送電能力は45%低下したため(高電圧変圧器94基のうち42基が破損または破壊されました)、エネルギーへの投資が優先課題となっています。

ウクライナ・エネルギー大臣であるヘルマン・ハルシチェンコ氏は、昨冬の大規模な攻撃では、単巻自動変圧器が主要な標的の一つにされていたと述べました。「ロシア人は、ウクライナの人々に電気を送電・供給する設備を破壊していたのです。」と大臣は指摘しました。「このような単巻自動変圧器の交換には時間と費用を要し、その重要性はウクライナ全土に及びます。したがって、日本とUNDPからの今回の支援は、我々にとってかけがえのないものであり、厳しい冬を迎えるウクライナのエネルギー安全保障を確保するための大きな貢献となります。私たちは、このパートナーシップを通じて、尊厳と共にこの季節を乗り越えることを願っています。」

ヤコ・シリアーズUNDPウクライナ常駐代表が指摘するように、信頼できる電力は繁栄する国家の基盤です。「ウクライナのエネルギー網を強化することで、私たちは電力を供給しているだけでなく、国家の強靭性を高めていることにもなるのです。」と代表は述べました。「このパートナーシップは、ウクライナにおけるエネルギー・インフラを破壊しようとする残忍な試みに直面したとき、ウクライナの人々の側に立つという我々の揺るぎない決意を象徴するものです。」

昨年の冬、ウクライナのエネルギー・インフラに対するロシアの攻撃により、ウクライナの変電所のほとんどが被害を受け、中には修復不可能なものもありました。その結果、ウクライナは広範な停電に見舞われ、約1200万人が影響を受けました。

この問題の深刻さは計り知れないものでした。子どもが家で勉強したり、家族が夕食を作ったりといった日常的な活動は、困難なチャレンジとなりました。また、ウクライナの企業にとっては、停電は大きな収入減となり、従業員やその家族への影響も免れませんでした。

UNDPが現在ウクライナに提供しているような高電圧変圧器は、ウクライナのその他の重要な公益事業を維持するためにも不可欠です。各家庭がきれいな水と効果的な下水設備を利用できるようにするためのポンプを動かすには、エネルギーが不可欠です。さらに、ウクライナの極寒の冬には、電気ストーブを動かすための電力が必要になります。

UNDPはウクライナに単巻自動変圧器を提供することで、安全でない水道水源や潜在的な下水の逆流、危険な暖房方法に頼ってしまう危険性から各家庭を守ることを目指しています。

松田邦紀駐ウクライナ特命全権大使は、日本は必要な限りウクライナを支援する決意であり、これにはウクライナの人々がこの冬を温かく過ごし、電力を利用できるよう、さまざまな支援を行うことも含まれると述べました。「この支援は、ウクライナの人々がロシアの侵略に直面するかもしれない冬を、安定した電力供給で支障なく過ごせるよう貢献することを目的としています。」また、松田大使は追加支援を発表し、「本日、単巻自動変圧器の第一陣が設置されたことを受け、日本は単巻自動変圧器2基の追加調達含むさらなる支援することを約束します。」と述べました。

ウクレネルゴ社CEOボロジミル・クドリツキー氏によると、これらは国際ドナーからの資金で購入された最初の高圧変電所のための新しい単巻自動変圧器です。「私たちは、このプロジェクトを迅速かつ勇気を持って実行してくれた日本政府とUNDPの全チームに心より感謝しています。ウクライナの国際ドナーの中で、我が国のために高度なハイテク機器の調達と供与という複雑な道のりを効率的に進めたのは、あなた方が初めてでした。エネルギー分野では、通常この作業に何カ月も要します。50万人以上のウクライナ国民に電力を供給する設備は、この暖房シーズンにもう稼働する予定です。」


メディアお問い合わせ先:Yuliia Samus - UNDPウクライナ広報担当 

Email: yuliia.samus@undp.org