JICAとUNDP、民間セクターにおけるアフガニスタン人女性のエンパワーメントに向けた無償資金協力贈与契約に署名

2023年10月17日
Photo: UNDP Tokyo

2023年10月17日東京発 − 国連開発計画(UNDP)と国際協力機構(JICA)は本日、アフガニスタンの7つの州において、民間セクターにおける女性の経済活動を強化することを目的とした2年間のプロジェクトの無償資金協力贈与契約に署名しました。

このプロジェクトは日本政府から総額14.08億円(1,000万米ドル)の資金提供を受け、農村部と都市部の両方でアフガニスタン人女性のエンパワーメントを支援するものです。このプロジェクトにより、女性起業家の金融へのアクセス、起業・経営スキル、そして市場へのアクセスを向上させることが可能となります。全体目標は、女性の経済的主体性を高め、家族や地域社会の経済復興に貢献する能力を高めることです。

同無償資金協力贈与契約は、JICAアフガニスタン事務所の天田聖所長とUNDPのハジアリッチ秀子駐日代表により、東京のJICA本部で開催された式典にて署名されました。式典には、UNDPアフガニスタン事務所常駐代表のスティーヴン・ロドリゲス氏をはじめ、アフガニスタン側関係者がオンラインで出席しました。無償資金協力贈与契約に先立ち、10月11日、カブールにて、岡田隆駐アフガニスタン特命全権大使とスティーブン・ロドリゲスUNDPアフガニスタン常駐代表との間で、プロジェクトに関する交換公文が署名されました。

天田聖所長は式典で、UNDPとのパートナーシップに感謝の意を表し、「女性は人口の半分を占めるため、女性の経済活動への参画は、家族の幸福だけでなく、アフガニスタン全体の発展においても不可欠です。さらに、このプロジェクトを通じて、"私たちはアフガニスタン人女性を忘れはしない"というメッセージが、厳しい状況にある彼女たちに届き、心に一筋の希望の光が差すことを願っています」と述べました。

天田聖JICAアフガニスタン事務所所長

Photo: UNDP Tokyo

また、ハジアリッチ秀子駐日代表は「アフガニスタンの持続可能な発展に不可欠なこの取り組みへの日本政府の寛大な支援に感謝します。UNDPはJICAと提携し、女性起業家の金融、技能と市場へのアクセス支援、そして経済力と強靭性向上の支援ができることを誇りに思います。このプロジェクトは、アフガニスタンの女性とその家族の生活と福祉を向上させるだけでなく、国の経済と安定にも貢献すると信じています」と述べました。

ハジアリッチ秀子UNDP駐日代表

Photo: UNDP Tokyo

交換公文に署名した岡田隆駐アフガニスタン特命全権大使は、このプロジェクトがJICAの長期にわたる優先課題に合致していることを強調し、「日本は長年にわたり、アフガニスタンにおける女性の経済的エンパワーメントを支援してきました。今回のプロジェクトは、これまでの支援に加え、女性が経済復興に参加し、その恩恵を受ける機会を増やすものだと信じています」と述べました。さらに、「女性の経済活動を可能にする環境を作るため、同プロジェクトでは、コミュニティとの協議を通じて特定された、農村部の道路、橋、市場、倉庫、灌漑用水路等のコミュニティインフラの建設と修復も行います。建設工事は地元住民の雇用機会を創出し、これらのインフラは地域社会のすべての人々に恩恵をもたらすでしょう」と付け加えました。

また、UNDPアフガニスタン常駐代表のスティーヴン・ロドリゲスは「日本政府との継続的なパートナーシップに感謝の意を表します。日本政府の支援は、アフガニスタン人女性が直面する複数の社会経済的・文化的課題に取り組む上で非常に価値あるものです」と述べました。さらに、「国連はアフガニスタンで、女性の権利と福祉を守り、女性が経済的に力をつけ、社会で主体性を発揮できるよう支援することを約束します」と付け加えました。

アフガニスタンよりオンラインで参加したスティーヴン・ロドリゲスUNDPアフガニスタン常駐代表(画面左)とスラヨ・ブズルコヴァUNDPアフガニスタン上級常駐副代表(画面右)

Photo: UNDP Tokyo

式典では、アフガニスタンの女性起業家が、昨今の状況下でビジネスを運営する上での経験談や課題を共有しました。彼女たちは、このプロジェクトに対する感謝の気持ちと、自分たちやアフガニスタンの他の女性たちのより良い未来への期待を述べました。

これまで、アフガニスタン人女性の教育や労働に関する権利は大きく後退してきました。労働や経済全体への女性の参画の制限は、人道的状況を悪化させ、経済を逼迫させ、全体的に脆弱性を増大させています。

この新しいプロジェクトは、合計1,400人の女性起業家と140の女性主導の小規模・零細企業を支援します。さらに、能力開発と女性の経済的エンパワーメント活動を支援するための100の小規模施設の建設を含みます。7つの州の選定は、治安状況や現行の制限を考慮しつつ、女性の労働参加率に基づいて行われました。これらの州は、東部(クナール州)、南東部(ロガール州)、南部(カンダハル州・ザブール州)、北東部(バグラン州・クンドゥス州)、中部(カピサ州)にあります。

このプロジェクトは、アフガニスタンに関する国連戦略的枠組み2023-2025(UNSF)に沿ったもので、アフガニスタンのさらに多くの人々、特に最も社会の主流から取り残された人々が、最低限の生活水準を満たす必要不可欠なサービスを公平に利用できるよう支援し、平等な経済機会、雇用、回復力のある生計、食糧生産の増加、自然資源管理の改善など、より包括的な経済から恩恵を受けることを目的としています。

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UNDPはアフガニスタンで50年以上にわたり、気候変動とレジリエンス、ジェンダー、ガバナンス、保健、生活、法の支配に取り組んできました。国連持続可能な開発目標(SDGs)の広範な枠組みのもと、他の国連機関と緊密に連携しながら、UNDPは平和、繁栄、持続可能性へのアフガニスタンの人々の願いを支援しています。