TICAD(アフリカ開発会議)の30周年に合わせ、2023年8月に在京アフリカ外交団(ADC)とUNDPアフリカ局長のアフナ・エザコンワが意見交換を行い、アフリカの発展における多国間主義と民間セクターの連携の重要性を強調しました。
貿易とビジネスを通じたアフリカ開発、地域統合の促進に向けて
2023年10月20日
多国間主義とアフリカのオーナーシップは、 TICAD(アフリカ開発会議)の中核を成し、アフリカの発展において重要な役割を果たしてきました。今年で30周年となるTICADは、アフリカと世界の政治的、社会経済的状況が絶えず変化する中で、過去の成功と現在の構造を再評価し、未来の展望に向けた取り組みを考える重要な時期を迎えています。
こうした背景の下、2023年8月に在京アフリカ外交団(ADC)は、国際連合開発計画(UNDP)総裁補兼アフリカ局長のアフナ・エザコンワを招き意見交換を行いました。会合では、アフリカ各国の駐日大使とエザコンワが、TICADプロセスに関する共同の立場を伝え、貿易とビジネスを通じた地域統合に関連するアフリカの有望性ついて意見を共有しました。
ADCのTICAD委員会議長のアブバカ・モリキ・フセイニ駐日ナイジェリア大使は冒頭で、貿易、ビジネス、民間部門を通じた地域統合に重点を置き、アフリカの関与に焦点を当てる必要性を強調しました。特に、アフリカの開発イニシアティブの計画と組織における民間部門の統合と参加の必要性を強調しました。
続いてエザコンワは、UNDP、アフリカ、日本の30年にわたるパートナーシップとしてのTICADの重要性をハイライトし、アフリカはもはや外部からの支援を求めているのではなく、自国の解決策に焦点を当てた独自の開発ストーリーをアジェンダ2063に掲げていると強調しました。また、アフリカがレジリエンスを構築できるようTICADを再構築する必要性を強調し、プロジェクトベースのアプローチから「メイド・イン・アフリカ」商品の生産支援にシフトする必要性を強調しました。
エザコンワはまた、TICADがアフリカの工業化に貢献するまたとない機会であること、そしてアフリカ大陸自由貿易地域(AfCFTA)の役割についても強調しました。AfCFTAがアフリカの地域統合と無関税による工業化を促進する可能性を秘めていることから、アフリカにおける生産的な産業に向けて日本との連携を高めるために活用されるべきであると述べました。
ブラモ-・ネルソン駐日リベリア大使は、二国間協定と多国間介入、そして民間セクターがどのように連携しているかを理解する必要があると強調し、リベリアのような国々における開発目標の持続可能性を確保するために、二国間取り決め、多国間介入、民間セクターがどのように協力できるかを理解する必要があると強調しました。
アフリカ外交団長のエスティファノス・アフェワキ・ハイレ駐日エリトリア大使は、日本におけるアフリカ諸国の利益とアフリカ全体の利益を支えるアフリカ外交団の役割について提起しました。また、日本とアフリカの関係において、視点を変え、新しいアプローチを取り入れることの重要性が、モハメド・ファッターフ駐日エジプト大使によって強調されました。
これに対し、エザコンワは、開発機関同士の協力や、民間及び公共セクターの連携を促す政策を強調し、特にアフリカにおいてインフォーマル経済が盛んであるため、民間セクターの影響力が限定的であることを指摘しました。また、新型コロナウイルス (COVID-19) パンデミックの際には、特に中小企業とインフォーマルセクターが最も影響を受けたことを強調し、中小企業とインフォーマルセクターの認識と支援が極めて重要であると述べました。
またエザコンワは、国際社会におけるアフリカに対する否定的な認識について懸念を表明し、開発におけるアフリカのオーナーシップを再度強調しました。それぞれの国、地域社会、分野で積極的な貢献をしているアフリカの人々を取り上げ、彼らが自らの力で自らの物語を語ることの意義を強調しました。
続いて、ジェネヴィーヴ・エドゥナ・アパルゥ駐日ガーナ大使は、アフリカの資源管理の重要性について言及し、技術だけでは十分ではなく、原材料へのアクセスと加工が重要であると強調しました。最後に、タブ・イリナ駐日ケニア大使は、 TICAD9を前に、開発における約束を効果的にモニタリングする必要性を強調しました。