UNDPとAfriCatalyst、タンザニアで公正な信用格付けを支援する能力開発ワークショップを開催

2024年7月15日

2024年7月4日から5日にかけて、タンザニアのドドマで開催された、信用格付獲得支援のための能力強化ワークショップに参加した参加者たち

Photo: UNDP Africa

2024年7月10日 タンザニア ドドマー持続可能な開発目標(SDGs)の達成期限である2030年まで残り8年に迫る中、アフリカ諸国は自国の開発目標を達成するために好条件の融資を確保する機会を迎えています。

タンザニアの財務計画省、国家統計局、中央銀行、ザンジバル大統領府をはじめ、その他の主要な政府機関から20名以上の関係者が首都ドドマで開催されたワークショップに参加し、公正な信用格付のプロセスを中心に、債務負担の軽減、財政余力の拡大、外国資本の流入増加に焦点を当てました。

本ワークショップは、各国にソブリン信用格付の向上に資するような知識や手法を提供するUNDPとAfriCatalystの取組みの一環であり、専門的な技術支援、オンラインリソースプラットフォームを通したデータアクセスの向上、信用格付けに関するアフリカの専門家ネットワークを通じた知識共有を通じて、タンザニアがこの分野で制度的能力を高めるために持続的な取り組みを補完するものです。

この取り組みは、信用格付け機関のムーディーズが、2023年12月にタンザニアの格付けをB2からB1に引き上げ、安定した見通しを示した数か月後に行われたものです。フィッチ・レーティングスも、タンザニアの格付けを安定的な見通しと評価し、B+に引き上げたことにより、同国は東アフリカ地域において最高ランクのソブリン信用格付を獲得した国となりました。

タンザニアが、ボツワナとモーリシャスに次ぐ、アフリカにおける投資最適国家の一員となるためには、残り4つの格上げが必要になります。2023年のUNDPの報告によると、タンザニアの信用格付が一段上がっただけでも、同国は利子負担を1億9100万ドル削減し、4億4700万ドルの投資を引き込むことができると見込まれています。加えて、タンザニアにおける2024年の経済成長率は6.1%に到達し、世界で15番目、アフリカで9番目に成長が速い経済となる見通しです。

ワークショップの冒頭、UNDPタンザニア常駐代表の小松原茂樹氏は、多くのアフリカ諸国が下方圧力に直面する中で、信用格付の向上を達成したタンザニアを称賛しました。「タンザニアのソブリン信用格付が、B2からB1へ引き上げられ、安定した見通しとなったことを、タンザニア政府にお祝い申し上げます。UNDPはこの取り組みにより、アフリカ諸国がその信用力の公正かつ客観的な評価を通じて開発資金へより良いアクセスを享受できるよう支援することにコミットしています。」と述べました。

UNDPアフリカ局チーフエコノミストのレイモンド・ギルピン氏は、SDGsの達成に向けた2500億ドルのギャップを埋めるために、利用可能でアクセス可能、かつ手頃な投資の必要性について強調しました。「信用格付を向上させるためには、各国は経済管理の強化、外貨準備の増加、為替レート変動の抑制を通じて、投資家に安定性を示す必要があります。また、多くのアフリカ諸国で見られる不十分で統一されていないデータ収集は、信用格付機関による主観的な判断き、その過程でアフリカに不利な状況を引き起こすことがあります。」と指摘しました。

二日間にわたり、参加者たちは信用格付システムの手法や基本的概念、開発資金における役割について見直し、より実践的なセッションでは、アフリカ信用格付リソースプラットフォームを用いて自国の状況理解や国家間比較を行うことで、格付機関との効果的な関わり方に関する実務的な戦略を学びました。

AfriCatalystシニアアドバイザーのアマニ・ムヒンダ氏は、「公正な信用格付け条件の推進は重要ですが、影響を及ぼせる範囲内の課題にも迅速に対処することが喫緊の課題です。知識の構築、より良い組織化、情報の非対称性の解消が政府を強化することにつながるでしょう」と強調しました。

参加者は信用格付けシステムの方法論の改善を求め、透明性の重要性を強調し、アフリカ諸国のマクロ経済状況に対する客観的な評価の提供を求めました。また、このワークショップは、UNDPとザンジバル大統領府実行局(PBD)と、ザンジバル及びドドマの財務・計画省との協議に先立って開催されました。このタンザニアでのパイロットイニシアチブは、日本政府の支援により実施されています。


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