国連開発計画(UNDP)と日本政府の連携により、ルワンダの新型コロナウイルス対策を強化

UNDPと日本のパートナーシップによるルワンダでの新型コロナ対策

2021年8月31日

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行(パンデミック)は、ルワンダで数百人の命を奪っただけでなく、同国の経済にも大きな混乱をもたらしています。そのため、ルワンダは、次々に襲う危機に効率的に対処するための資源を早急に確保しなければなりません。

ルワンダの社会経済構造の崩壊を最小限に食い止めるため、国連開発計画(UNDP)は日本政府とのパートナーシップを通じて、パンデミックがルワンダ国民に与える影響を最小限に抑えるための支援を行っています。

日本政府は、UNDPをはじめとする様々な国連機関を通じて、ルワンダがパンデミックに立ち向かうための支援を行っていますが、そうした多面的な取り組みに加えて、日本はルワンダ政府が医療機器を調達し、COVID-19と闘う能力を強化するために270万ドルの援助を提供しました。

このような世界的危機に立ち向かうには、各国や国際機関が協力してワクチンやその他の医療用品が公平に分配されるようにしなければならないと、今井雅啓在ルワンダ日本国特命全権大使は考えています。

今井雅啓在ルワンダ日本国特命全権大使は、すべての国々や国際機関が協力して、ワクチンやその他の医療用品が公平に分配されるようにしなければならないと強調します。

コロナ禍は、宗教や民族に関係なく、すべての国々に影響を及ぼしています、と今井大使は語っています。これは人道的危機であるため、誰一人取り残さないことが私たちの開発と協力の原則です。

「そのため、私たちはコロナ禍と闘うルワンダの取り組みを全力で支援しようと努めています」と、大使はインタビューで語りました。

一方、UNDPルワンダ事務所のマクスウェル・ゴメラ常駐代表は次のように語っています。「コロナ禍は、私たちが普段当たり前と思っている生活の側面を奪った半面、私たちがお互いをどれほど必要としているか、平和な環境で生活することがどれほど必要か気付かせました。」

UNDPと日本政府のパートナーシップは、ルワンダがこのコロナ禍を乗り越えて前進できるように支援するものです、とゴメラ常駐代表は強調します。

「必要な検査キットや医薬品は、日本政府と日本の方々の寛大なご支援によって入手できるようになりました。しかし、それだけではありません。コロナ禍の性質を考えると、救急サービスを検討する必要がありました。私たちが検討した分野の一つは、病院の集中治療室(ICU)の能力拡大でした」とも付け加えました。

2020年初頭に新型コロナウイルスがルワンダを襲った時、UNDPは保健省と連携し、ルワンダ・バイオメディカル・センター(RBC)と緊密に協働してウイルス対策を特定しました。

医療用ベッドや人工呼吸器、患者モニターなどの機器を調達し、ICUの能力を強化しました。

人工知能(AI)の最適化

ルワンダは、アフリカ中でICT技術の利用が最も急速に進んでいる国の一つであり、コロナ禍との闘いにもICT技術を迅速に導入しました。

今年初めには、処置センターや病院、大勢の人が集まる場所の清掃や消毒用に紫外線(UV-C)消毒ロボットが導入されました。

UNDPルワンダ事務所と共同で実施するこの特定プロジェクトにおいて、日本は新型コロナウイルス対策として120万ドルを提供しました。この支援の一部は、研究室やICUで使用する機器を含む医療機器、そして、最前線で働く医療従事者にとって大きな助けとなる知能ロボットの調達や供給に費やされました。

新型コロナウイルス処置施設であるニャルゲンゲ地域病院で新規感染予防戦略を担当するデュドネ・ンシミイマナ氏は、このロボットが新型コロナの拡散防止に効果を発揮していると言います。

こうしたロボットは数百人の患者に対応できるため、最前線の医療従事者が患者と接触する必要はありません。

ICUの能力強化

集中治療室(ICU)の数が増えています。9つの病院が新型コロナ用ICUを完備し、41の病院に隔離センターが設置され、RBCから様々な器具(人工呼吸器、ベッド、パルスオキシメーター、モニターなど)が提供されました。

医療機器を購入し、医療従事者をトレーニングすることで、処置センターや病院内の研究室やICUの能力が強化されました。

UNDPはまた、新型コロナウイルス処置センター向けの人工呼吸器、酸素濃縮器、酸素ボンベ、酸素調整器、患者モニターといったICU機器の取得も支援し、ICUの能力を強化しました。取得した機器は、そうした機器がなければ命を落としていたかもしれない人々の数を減らすのに役立ちました。

さらに、UNDPはこの資金で研究所の分析者や検査技師の雇用を支援しました。合計100名の研究所検査技師が雇用され、11の新しい検査場に配置されました。

社会的、経済的福祉の向上

災害発生時に最も大きな影響を受けるのは、一般に社会で最も弱い立場にある人々です。

最も脆弱なグループが新型コロナウイルスから最も大きな影響を受ける中、UNDPと日本政府は13の障害者協同組合にその家族の命を救う食料支援を速やかに行うとともに、その事業を経済的に回復させるための支援も行いました。

ルワンダの様々な地域にいる合計227名の協同組合員(障がい者)に食料や衛生用品を直接支援し、その家族である795名には間接的な支援を行いました。

障がいのある人々は、失業や収入減による生計の悪化など、コロナ禍によって数多くの問題に直面しました、と語るのは、聴覚障がいや言語障がいのある女性(と一部の男性)のための協同組合代表のミシュリーヌ・ニクゼ氏です。

「私たちは服の仕立て、織物、編物、装飾などの活動をしていますが、ロックダウンが課された時点で活動はすべて停止しました。全員が自宅待機となった結果、問題が発生しました。私たちは飢えに苦しみ、その状況が何か月も続いたのです。そのため、ロックダウンが解除されても、私たちには活動を再開する手だてがほとんどありませんでした」とニクゼ代表は言います。

13の障害者協同組合は支援を受けて、事業の立て直しとより良い復興に取り組みました。

しかし、UNDPと日本政府から資金援助を受けたことが、彼らがその後に事業を再開するのに役立ちました。

「この支援のおかげで私たちの暮らしは変わりました。UNDPに感謝したいと思います。UNDPからの支援がなければ、私たちはとても苦しい状況に置かれていたでしょう。私たちは今、変化を目の当たりにしており、少しずつ貧困から抜け出しています。」

この協同組合員のラマダン・アソウマン氏は、ロックダウンによって組合員がいかに蓄えをすべて使い果たさざるを得なくなり、非常に苦しい状況に置かれたかを振り返りました。

「私たちは多くの困難に直面しました。暮らしがどうなってしまうのか、大きな不安を抱えていました。しかし、UNDPの支援を受けてチャンスを与えられ、私たちは活動を再開できただけでなく、設備を充実させることもできました」と同氏は言います。

「今、私たちは働いて前進しています。家族を養うことができています。こうした利益はすべて、UNDPから受けた支援のおかげです。本当に感謝しています。」

ゴメラ常駐代表は、誰も独りぼっちでないことを理解してほしい、と人々を勇気づけました。「私たちはみんな仲間です。一つの家族として団結することによって困難を乗り越えられることを示すことができました。ルワンダの人々がいかにしっかり団結してきたか、私は嬉しく思っています。

アフリカにはまだワクチンを国民に接種していない国々があります。そのため、現在ワクチンの入手に取り組んでいるアフリカ諸国に手を差し伸べるかどうか検討している他国に、一歩踏み込むことを促したいと思っています。」