ガスタービン発電機と自動変圧器が2024年冬のウクライナの被災地の人々にとって重要なサービスの提供を支える
日本と国連開発計画(UNDP)が550万人以上のウクライナ国民に電力供給を確保するための機器を供与
2024年1月8日
2024年1月8日キーウ発 - 国連開発計画(UNDP)ウクライナ事務所は、長年の戦略的パートナーである日本政府と共同で、最新鋭のガスタービン発電機3基の供与と、自動変圧器7基の輸送支援を実施したことを発表しました。ウクライナ・エネルギー省との緊密な連携のもと実施されているこの事業は、ウクライナにおける国家の長期的なエネルギー分野の目標を支援し、2024年の冬に向けたエネルギー需要を満たすことを目的としています。
2022年冬に発生したロシアによるウクライナのインフラへの攻撃により、発電能力が半分以上まで大幅に低下した結果、ウクライナ国民の約93%が電気、暖房、水の供給といった生活に不可欠なサービスの不足に直面しました。これらガスタービン発電機と自動変圧器の配備は、2024年の冬に起こりうるエネルギー不足による混乱を未然に防ぎ、被害を受けた地域の550万人以上のウクライナ国民に重要なサービスの継続を保証するものです。
提供された機器は、電力不足に陥った場合の緊急対応措置としての役割を担うことに加え、ウクライナ政府の優先事項であるエネルギー分野におけるグリーン転換と地方分権化に沿ったものです。具体的には、ガスタービン発電機は環境負荷の低いバイオ水素を燃料として稼働することもでき、将来的にはウクライナにおける環境にやさしい発電に寄与します。
今回の発表は、上川陽子外務大臣のキーウ訪問の機会に行われ、ウクライナを支援する日本の継続的な支援を象徴するものです。
上川大臣は引渡式で、ウクライナにおけるエネルギー分野での支援の重要性に触れ、「今回の支援は、破壊されたエネルギー・インフラ設備を整備することで、ウクライナの人々が冬を乗り越えるための恒常的な電力、暖房の供給に寄与するものです。」と述べました。また、日本政府はロシアによる全面侵攻の当初から電力供給の復旧を支援しており、今後もその姿勢を崩さないことを強調しました。「今回の私の訪問を契機に、ウクライナの復旧・復興に向けた両国間の連携を更に強化していきたいと思います。ウクライナが平和を取り戻し、ウクライナの美しい大地を再び目にすることができるよう、ウクライナを支え続けていく決意に揺らぎはありません。強い絆のもと、日本はウクライナと共に歩んでいくことを約束します。」と述べました。
ウクライナ・エネルギー大臣のヘルマン・ガルシチェンコ氏は、日本政府およびUNDPによる今回の支援及びウクライナへの継続的な支援への決意に感謝の意を表し、「日本政府とUNDPの支援は、この困難な時期にあるウクライナにとって非常に重要なものです 。私たちは、現在のエネルギーシステムの存続に寄与するだけでなく、ウクライナの将来のエネルギー部門の発展のための重要な計画を実施するために共同していきます。」と述べました。
UNDPウクライナ常駐副代表のクリストフォロス・ポリテス氏は、ウクライナのエネルギーインフラを復旧させるための継続的な努力において、UNDPがウクライナ政府を積極的に支援していることを強調しました。「UNDPは2年連続で、日本政府および他パートナーとの協力のもと、ウクライナが新たな攻撃によりエネルギーインフラへのダメージ、またそれによるエネルギー不足の脅威に直面する可能性に備え、冬の間、すべての人が電力と暖房の供給を確保できるよう支援するために取り組んできました。この支援を通じて、私たちは、提供された設備が本来の機能を果たすだけでなく、ウクライナのエネルギー部門を活性化し、より環境に優しい分散型インフラの基礎を築かなければならないと認識しています。これにより、信頼性の高い配電が促進され、ウクライナの持続可能な発展の追求が強化されます。」
『ウクライナのエネルギー部門のグリーン転換に向けて』報告書によると、発電容量は2022年以前の50%近くまで減少しています。37GW近くあった設備容量のうち、19GW以上が2022年2月の攻撃以降、破壊、損傷、占拠されています。
<背景>
日本政府はウクライナにおけるUNDPの最も重要なパートナーの1つであり、ウクライナの重要インフラ復旧のための設備に継続的に資金を提供しています。戦争開始以来、UNDPは日本の資金援助を受けて、ウクライナ全土のコミュニティに配布された1,000台の非常電源バンクと1,200台の発電機を含む、緊急時に必要な機材を供給しました。その後、2023年10月には、同国の送電能力を強化するため、大電力自動変圧器2基が供与されました。