サーキュラーエコノミーに関するキャパシティ・ビルディング: SDGアカデミーインドネシアを通じたインドネシアと日本の協働の旅

2024年6月19日
SDG Academy Indonesia Hosts Circular Economy Talkshow and Graduation Ceremony for SDG Leadership Program Class V

サーキュラーエコノミー・トークショー

持続可能な開発目標(SDGs)の達成を加速するためには協力が必要です。SDGアカデミーインドネシアを通じたUNDPインドネシア、日本クロージャー株式会社(NCC)及びICMGの協働はまさにその顕著な模範です。

SDGアカデミーインドネシア(SDAI)とは何ですか? 

SDGsの達成を目指す上で、教育は、変化を促しインクルーシブな成長を促進する上で極めて重要な役割を果たします。その意味において、SDAIは、地域社会に力を与え、インドネシア全体に前向きな変革を促す希望の光を照らしています。SDAIは、その革新的なプログラムと協働のアプローチを通じて、インドネシアと世界の明るい未来を支えています。 

SDAIは、UNDPインドネシア国事務所、インドネシア国家開発計画省、タノト財団の協力に基づき開発され、2020年に開始したプログラムです。インドネシアにおけるSDGsの達成を加速させるため、SDAIは、ガバナンスと政策、革新的な解決策、モニタリングと報告の分野を網羅し、SDGsを自国にあった形で展開しようとするインドネシアの国家およびその他のアクターの能力を高めることを目的とした革新的な能力開発プログラムとしてのビジョンを掲げています。インドネシアのすべてのSDGsステークホルダーのリーダーが、同国の持続可能な開発目標2030をともに実現するために、SDGsの枠組みを効果的かつ知的に活用できるようにすることが、 SDAIのビジョンを実現に向けた使命です。

SDAIのプログラムはどのようなものですか?

SDAIは、そのビジョンと使命に基づき、SDGに対する理解を広げ、リーダーシップとコミットメントを強化することを目的とした幅広い能力開発の取り組みを提供しています。主要プログラムであるSDGリーダーシッププログラム、SDGモバイルラーニングプログラム、知識共有プラットフォームを通じて目標を達成します。

SDGsを達成するためにはパートナーシップが重要であるとの考えのもと、2021年、SDAIは日本クロージャー株式会社(NCC)およびICMGとの協業を模索し、議論を重ねました。その中で、NCC、ICMG、SDAIは、インドネシアにおけるサーキュラーエコノミーの認識度と実践における課題があるとの懸念を共有し、2022年7月、インドネシアにて、サーキュラーエコノミーに関する能力開発プログラムを実施するために正式に協働を行うことを決めました。

サーキュラーエコノミーは、「従来通りのビジネス」を持続可能なビジネス(消費した資源を廃棄するリニア経済から循環経済)へと転換させる強力な突破口と考えられています。サーキュラーエコノミーの目標は、製品や素材がさまざまな段階を経て継続的に循環するクローズド・ループ・システムを構築し、環境への影響を低減し、持続可能性を促進することです。

NCC、ICMGとSDAIは、2022年以来2年間にわたるパートナーシップを通じて、民間セクター、政府、市民団体、アカデミアなど様々な背景を持つインドネシア全土の1,000人以上の参加者を対象に、サーキュラーエコノミーに関する能力開発シリーズの4つのプログラムを成功させました。

SDGsアカデミーインドネシア - NCCとICMGのパートナーシップの旅

1. 5つの一連のダイアログを通じてサーキュラーエコノミーの知識を知識を掘り下げる 

2022年10月から2023年2月にかけて、サーキュラーエコノミーに関する一連のダイアログを三者合同で開催したところ、1,300人を超える参加者が登録し、成功をおさめることができました。インドネシア日本国大使、日本の経済産業省、NCC、ICMG、SL2の代表者、プロジェクト・ボードメンバー(インドネシア国家開発計画省、UNDPインドネシア、タノト財団)が開会したこのダイアログには、インドネシアと日本の関係者が一堂に会し、サーキュラーエコノミーに関する知見を共有しました。

開会式とサーキュラーエコノミー・ダイアログ

2. ユース・トークを通じ、サーキュラーエコノミーに関する若者の声を届ける

2023年5月25日には、SDGsユース・トークが SDAI、NCCとICMGの連携の一環としてハイブリッド形式で開催されました。このトークの目的は、サーキュラーエコノミーに関する参加者の視野を広げ、分野横断的な議論を通じて好事例を学ぶことです。パネリストには、インドネシア環境林業省、NCC、UNDPインドネシアの代表者、2018インドネシア環境プリンセスやEWastePU創設者などを迎えました。イベントには88人が参加しました。ユース・トークでの意見交換や交流は、知的な刺激に満ちあふれただけでなく、持続可能な未来への道筋を照らす明るい光でもありました。

SDGsユース・トークのパネルと、SDGsアカデミーインドネシア事務所で参加した参加者

3. サーキュラーエコノミーに関するモバイルラーニングプログラムで理解を深める 

アカデミーはまた、NCCとのコラボレーションの成果のひとつとして、サーキュラーエコノミーに関する新しい学習リソースを発表しました。このモジュールは、2022年10月から2023年3月にかけて開催された「サーキュラーエコノミー・ダイアログ」シリーズで提起された問題点を基に開発されました。

この学習教材は、サーキュラーエコノミーとSDGsとの関係についての理解を深めようとする人々を対象としています。カリキュラムでは、環境管理の課題に取り組むモデルとしてのサーキュラーエコノミーについて詳しく説明しています。学習範囲は、サーキュラーエコノミーの概念、基本原則、実践的な応用、インドネシアにおける優先分野、そしてサーキュラーエコノミーがもたらす機会と課題を網羅しています。また、様々な規模におけるサーキュラーエコノミーの適用事例やケーススタディがカリキュラムに組み込まれています。学習方法には、オンライン学習、課題、テストを含みます。各学習トピックには、解説ビデオ、読み物、小テスト、ディスカッション・フォーラムが用意されています。授業はインドネシア語で行われます。学習教材は8つのサブトピックに分かれており、2時間で完了することができます。

4. 持続可能な未来のための地域リーダー育成:SDGリーダーシッププログラム

2023年10月から2024年2月にかけて行われた第5期SDGリーダーシッププログラムには、様々な分野から45名の参加者が選ばれ、5ヶ月の期間中、サーキュラーエコノミーのさまざまなテーマ別の課題に焦点を当てました。プログラムは、5回のワークショップ、メンタリングセッション、セミナーで構成され、参加者は、インドネシアにおけるSDGsの達成を加速させるため、特にサーキュラーエコノミーに関する地域社会の課題を解決するために、卒業要件の一つとしてグループでプロジェクトを展開しました。最終的には42名の修了生がSDG認定リーダーの称号を得ました。サーキュラーエコノミーの取り組みを通じて持続可能な開発を推進できるリーダーの育成を目指し、講師、メンター、教育スタッフや多様な機関からのゲストスピーカーが指導にあたり、また卒業プロジェクトを支援するにあたり、NCCは上位3つのプロジェクトに着手資金を贈呈しました。

5. 総括セッション:サーキュラーエコノミー・トークショー

2024年3月20日、「インドネシアのSDGs達成におけるサーキュラーエコノミーの機会と課題を探る」と題したハイブリッド形式のサーキュラーエコノミー・トークショーが開催されました。数百人の参加者を集めたこのイベントは、上記の様々な能力開発努力の集大成となりました。

トークショーは、下村憲正UNDPインドネシア常駐代表、ヴィヴィ・ユラスワティ・インドネシア国家開発計画省海事・天然資源担当副官、中川征・日本クロージャー株式会社製品開発部マネージャーによる開会の挨拶で始まりました。パネルディスカッションでは、SDGムーバーのチェルシー・イスラン氏、ヤヌアル・ヌグロホ氏(国家SDGs事務局専門家チームコーディネーター)、ヴェラニア・アンドリア氏(UNDPインドネシア再生可能エネルギープログラム・戦略政策シニアアドバイザー)、シンシア・ウィジャヤ氏(ダヤ・セララス・グループCCO)が登壇しました。

サーキュラーエコノミーを日々のビジネスモデルとするための取り組みには、社会からの強いコミットメントと集団での行動が必要です。SDGアカデミーインドネシアとNCC、ICMGの連携は、持続可能な開発のための教育を通じて個人をエンパワーする上で、重要な道標となります。この道のりを振り返ることは、サーキュラーエコノミーのさらなる機会とSDGs達成への貢献の可能性の探求を促進し、最終的には誰一人取り残されることのない未来を目指すことにつながります。