国連開発計画(UNDP)と西アジア経済社会委員会(ESCWA)は、エジプト、ヨルダンとレバノンにおいて、人間開発が少なくとも2~3年後退する恐れがあると警告
ガザでの戦争によりアラブ地域の近隣諸国が社会経済面での後退に直面-新たな緊急アセスメントで明らかに
2023年12月19日
アンマン – ガザの人道支援システムは崩壊の危機に瀕しており、220万人が差し迫った危険に晒されています。この戦争が続けば続くほど、アラブ地域の近隣諸国への悪影響は、終わりの見えない社会経済的後退を引き起こすでしょう。
UNDPとESCWAによる新たな迅速評価の結果によると、エジプト、レバノンとヨルダンにおける人間開発が今後後退することを明らかにしました。戦争が現在の3カ月目いっぱいまで続いた場合、最初の試算によれば、2023年末までに近隣のエジプト、ヨルダンとレバノンで新たに23万人が貧困に陥ることになると予測されています。戦争の代償を失われた国内総生産(GDP)に換算すると、これら3カ国合わせて最大で約103億米ドル(2.3%)に達する可能性があります。
12月15日に発表された「ガザ危機がアラブ地域の近隣諸国に及ぼす社会経済的影響に関する予測」と題された迅速アセスメントでは、2003年のイラク侵攻、2008年から2009年にかけてのガザでの戦争、2011年以降も続くシリア危機など、同地域における過去の紛争からの教訓に基づき、同地域に波及する可能性のあるいくつかの影響についての考察がなされています。こうした影響には、原油価格の変動、難民の流入、公的債務と財政余地の圧迫、そして観光と貿易などが含まれます。こうした波及効果の影響は今のところ完全に現れてはいないかもしれませんが、これらが依然として注視しなければならないリスク変数であることが、本分析は示唆しています。
「第一に、ガザにおける即時の人道的停戦が必要です。この戦争はパレスチナの人々にとって破滅的です。そして、この戦争が続けば、その影響はアラブ地域の近隣諸国にまで波及する可能性があります」と、アブダッラー・アル・ダルダリUNDPアラブ局長は述べました。「これらの国々は、COVID-19や、ウクライナ戦争によって引き起こされた数々の世界的な経済危機のために、すでに経済的な困難を経験していました。そして、ガザでの戦争によってもたらされた貿易、観光と生活への影響が、既存の脆弱性を悪化させ、これらの近隣諸国が経済と社会を正常に戻すために得たささやかな利益を危険に晒していることを見落としてはいけません」
本分析を実施した著者は、戦争が3ヶ月以上長引けば、近隣諸国への社会経済的影響はさらに深刻化すると予測しています。推定された上限値では、2024年には50万人近くが貧困に陥り、GDPの総損失は180億米ドル(3カ国合計で4%)に達すると予測されています。
本分析は経済モデル・ツールを用いて、近隣諸国(主にエジプト、ヨルダン、レバノン、およびデータがあるシリアを含む)への戦争の影響を試算しています。影響算出のために、彼らは紛争の2つのシナリオを検討しています。それらは、戦争期間が3ヶ月と6ヶ月で、いずれも現状の激しさとガザとパレスチナ被占領地域に限定された地理的範囲を想定したものです。
しかし、戦争の範囲が地理的に拡大すれば、影響の拡大はより指数関数的に顕著になる可能性があると、アセスメントの報告者たちは警告しています。そして、ガザと被占領パレスチナ地域における言葉を絶する荒廃と苦しみに終止符を打つためには、戦争を終結させるための対策を優先しなければならないことを強調しています。
詳細および取材のお申し込みは下記まで:
Dylan Lowthian | メディアリレーション・ヘッド | UNDP対外関係・アドボカシー局 | dylan.lowthian@undp.org
Fatma Yassin | コミュニケーション・アドバイザー代行. | UNDPアラブ局 | fatma.yassin@undp.org