日本政府のもと、洪水とコミュニティ間紛争の被害を受けたコミュニティに対する強靱性および安定性の強化を通じた早期回復の支援(2021年7月〜2022年6月)
コンゴ民主共和国における地域の強靭性と安定性の強化
2023年8月18日
これは、24歳のカンバ・トゥアカジカ・デニスの物語です。彼女は3児の母でしたが、4歳の長子は昨年、栄養失調と医療資源不足により亡くなりました。
しかし紛争が勃発した時、カンバは子どもたちを守るため、雨の中を徒歩で森を通ってバクアカニンガ1から約15キロ離れたントゥムバ・ムウェンゼという別の集落に避難しなければなりませんでした。その結果、カンバは所持品、家、畑、家禽など、全てを失いました。
カンバは、生まれ故郷のバクアンダエに戻ろうと決心します。彼女は当初そこで兄と同居していましたが、兄もまた大家族を養う必要がありました。
収入を得る手段がないため、カンバは非常に苦しい生活を送っていました。彼女は最初、大家族を養う必要のある兄と一緒に住んでいましたが、収入手段がなく、特に子供たちの再発する病気、栄養失調などで、彼女の生活は非常に困難でした。この中で、長子が亡くなる運命に直面しました。
コンゴ民主共和国では、洪水、紛争、COVID-19、通貨切り下げやGDP成長の低下などにより、人道支援を必要とする人々の数が増加しています。2020年末時点で、食糧に対して非常に脆弱な人々が約2180万人いるため、世界最大の食糧危機となっています。
UNDPは、パートナーであるテラ・ルネッサンスと共にバクアンダエで脆弱な人々を特定する調査を行った際、カンバは石けん作りとマーケティングの研修の受講生に選ばれ、現在、石けん作りのスキルを習得しました。
「家庭用の石けんが不足することはもうありません。定期的な収入に関しては、時間が経つにつれてますます良くなることを願っています。販売と顧客の獲得のために一生懸命働く必要があります」と語っています。
<プロジェクトについて>
このプロジェクトは、南キブ州で発生した大規模な洪水や大カサイ地域で発生したコミュニティ間の紛争に対する応急対応と復興支援をしました。また、COVID-19 のパンデミックによる影響によって困難な状況 に陥っている、上記の地域とキンシャサの復興を推進することでした。本プロジェクトの活動は、脆弱な立場に置かれた人々、特に女性と若者を中心に危機の影響を受けたコミュニティの、地域強靱性と社会的安定を強化することに貢献しました。カンバを含む30人の受益者に石けん作りの研修を、別の 30人にパーム核油の製造方法の研修を行って、受益者のエンパワーメントを可能にしました。
<主要な成果>
・70,000世帯が恩恵を享受
・危機に影響を受けた人々のため、1488件の一時的な雇用を創出
・50,000枚のマスクを中小企業が生産
・45,000世帯の生計が向上
・510人の危機に影響を受けた女性たちが、収入創出スキルを獲得
<主要パートナーとしての日本とUNDP>
日本のNGOであるテラ・ルネッサンスは、本プロジェクトの実施を支援した組織の 1つです。このパートナーシップが、洪水の影響を受けた地域での運河と橋の建設を通じて、コミュニティの災害に対する強靱性の強化に役立ちました。
また、同団体は南キブ州においても、災害リスク対応に関する研修を地元住民に実施しました。テラ・ルネッサンスは、南キブ州のブカヴ(ウヴィラ、ルブンギ、カマニオラ)と、中央カサイ州のカナンガ(ディンベレンゲ)の両方で活動しています。
日本の継続的な支援によって、UNDPと日本によって支援されているプロジェクトはSDGsの2030年達成を目指すアジェンダの実現にアフリカ大陸の様々な地域で貢献をしており、革新的な方法によって複雑な危機状況において人々をエンパワメントしています。
アフリカ開発会議(TICAD)は1993年に始まり、アフリカ開発における意見交換やパートナーシップのための主要なフォーラムとしての役割を果たし続けています。30年以上にわたって、アフリカと日本の双方で開催された計8回のサミットと、複数回の大臣級会議を重ねてきました。
実施プロジェクトは、経済・社会・平和の3分野に分類されます。日本とUNDPは協力者として、革新的なソリューションの考案やコミュニティへの支援を通じて、持続的かつ包括的で、全ての人々に安全と幸福が保障される未来を目指して活動していきます。