受け入れ国への支援強化が、増加する難民への対応のカギとなる
2023年12月27日
12月13日、ジュネーブ発―避難を余儀なくされた人の数が記録的な数に達する中、そうした人々の数を減らし、難民や受け入れ地域のニーズを満たし、難民や帰還民を受け入れる国にかかる負担を軽減する唯一の手段は、持続可能な開発への投資です。
国連開発計画(UNDP)は、12月13日から15日にかけてジュネーブで開催された第2回グローバル難民フォーラムで、難民受け入れ国への支援を大幅に増やさない限り、新たに避難を余儀される人々が発生し、避難生活が長期化すると警告しました。
難民や帰還民を受け入れている国に対する支援が不足すると、開発によって得られた成果が水泡に帰し、難民が人道支援に過度に依存してしまう危険性があります。UNDPはこのような問題認識から、30カ国以上で支援を拡充し、彼らが長期的な金融や行政等のサービスや生計向上支援、働きがいのある人間らしい仕事、そして司法へのアクセスなどを確保できるように投資すると同時に、平和構築、気候変動対策、国や地域の調整・管理強化に取り組むことも約束しています。
「避難を余儀なくされた人々が払う人的犠牲には心が痛みます。難民とその受け入れ地域が直面する課題に取り組むためには、さらに世界が一丸となって取り組む必要があります。人道支援、開発投資、平和構築の取り組みを支援することは、各国が、自国民と受け入れている難民の未来を描くことにつながります。」と、UNDPのハオリャン・シュウ副総裁はグローバル難民フォーラムで述べました。
また集団的な行動への呼びかけとして、日本政府と国連開発計画(UNDP)は「難民・避難民の問題解決に向け人道・開発・平和の連携(HDPネクサス)の取り組みを加速・活用するためのマルチセクター・プレッジ(宣言)」を発表しました。
国際社会全体での責任の共有を打ち出した「難民に関するグローバル・コンパクト」は、重大な局面にさらされています。2023年末時点で、難民、難民申請者、およびその他国際的な庇護希望者の総数は4,780万人に上ります(国連難民高等弁務官事務所[UNHCR])。
さらに、難民を最も多く(全体の76%)受け入れているのは富裕国ではなく、低・中所得国です。2023年の「難民に関するグローバル・コンパクト指標報告書」によれば、世界の難民の80%を受け入れているのは、全部足しても世界の所得の19%しか占めていない国々です。
大規模な人の移動は、途上国の経済、サービス、社会に深刻な負担を強いて国際援助への依存をもたらしますが、その援助とて不十分です。2020年から2021年にかけて、途上国の難民が暮らす地域に対する政府開発援助(ODA)の総額のうち、開発資金に充てられたのはわずか34%であり、平和構築に充てられたのは6%、難民の出身国への帰還支援に充てられたのは3.6%でした。2022年においても、自主帰還、庇護国での社会統合、第三国定住などの解決策を利用した難民はわずか50万人に過ぎませんでした。
グローバル難民フォーラムは4年ごとに開催され、避難を余儀なくされる難民や避難民などへの取り組みの進捗状況を確認し、新たな野心的な目標を設定しています。また、UNDPは気候変動対策と資金確保や法律支援、住宅・土地・財産権の確保を通じた持続可能な解決策の推進など、マルチステークホルダー・プレッジ(宣言)「国連コモン2.0」にも積極的に取り組んでいます。また、地域ベースのアプローチと安定化プログラミングを活用し、アフガニスタンなどの帰還国における社会復帰を促進するための取り組みも行っています。