UNDP危機局長がウクライナの復旧における雇用、エネルギー、瓦礫撤去、地雷対策の重要性を強調

2024年10月7日
a person standing in front of a truck
Photo: UNDP Ukraine

2024年9月20日キーウ発 – 国連事務次長補 兼 UNDP危機局長の野田章子がキーウを訪れ、戦闘が継続するウクライナの回復のためには、早期復旧支援が不可欠であると述べました。ビジネス支援、職業訓練・技能向上、エネルギーインフラの復旧、瓦礫撤去、地雷・爆発物除去が復旧における主な取り組みになります。

野田章子UNDP危機局長は、「危機的状況にある命を救う人道支援と同様に、早期復旧作業も重要であり、人々の生活再開を支援することは、ウクライナを強靭にする基礎となります」と言及しました。

ロシアによる全面侵攻は、ウクライナに壊滅的な影響を与えています。戦前は5.5%であった貧困率が2022年には24.1%に上昇し、710万人が新たに貧困状況に陥りました。ウクライナでは熱エネルギー供給網の8割が破壊されています。また、ウクライナ領土の約25%が地雷で汚染されていると推測されており、これはスイスの国土面積の4倍に相当します。

損害は甚大で、ウクライナの復旧・復興ニーズは合計4,860億ドルに上るとされています。

野田危機局長は滞在中、キーウ、オデーサ、ムィコラーイウの政府高官と面談し、ウクライナの地方および国家による復旧活動におけるUNDPの支援について協議しました。また、人々の生活を改善する現地の取り組みも視察しました。今回の訪問でUNDPとウクライナ政府の力強いパートナーシップが再確認されました。

冬が間近に迫っていることもあり、被害を受けたエネルギーインフラの回復が最優先事項となっています。これには、損傷したエネルギーシステムの修繕に加え、エネルギー変圧器などの必要機材の輸入支援が含まれます。

野田危機局長は、「UNDPは経済及び社会の復興支援と共に、エネルギー確保のためにウクライナ国内での活動を続けます」と述べました。

さらに、ブチャ市にて、ウクライナにおける最初の瓦礫リサイクル場を訪問。このリサイクル場では、瓦礫を道路や家屋などの必要インフラに変換しています。ブチャ市長は、「この取り組みによってコミュニティを再建することで、ブチャにおける避難民の受け入れや帰還のための条件を整えることができました」と語ります。

キーウ州で野田危機局長は地雷探知犬を16頭調教している女性職員と面会。地雷探知犬は、地雷や爆発物を安全に発見するように訓練されています。1日に探知犬一頭あたり、最大1,500平方メートルの範囲を除去可能で、これは人間が作業する場合の50平方メートルに比べ、30倍から75倍の速度になります。

「調教師と探知犬の強い絆を目にすることができました。彼らはウクライナの汚染された土地の浄化やコミュニティへの安全な返還において、大きな変化をもたらしています」と野田危機局長は語りました。

これはUNDPによるウクライナ現地政府と協力した地雷除去の幅広い取り組みの一環であり、UNDPは地雷除去支援の中でドローンや人工知能などの革新的な技術も活用しています。

野田危機局長は、ムィコラーイウの職業訓練施設である第21番高等専門学校の学生とも会いました。生徒たちは電気工事やウェブデザイン、システム管理などの需要の高い職業について学んでいます。この施設に対するUNDPの支援は、ウクライナの技術者不足に対応する取り組みの一環です。ウクライナが2030年までに経済を年間7%成長させるためには、450万人の追加労働者が必要とされています。

これらの取り組みは、およそ3年間にわたるロシアの全面侵攻により影響を受けたウクライナの人々にとって、復旧の基盤を築くものです。

野田危機局長は、「私たちは、ウクライナの人々の安全と未来への自信を取り戻し、選択肢と機会を生み出すために、パートナーと密接に協力していくことを約束します」と強調しました。


ウクライナにおけるUNDPの活動について:

人道支援、開発、平和構築における専門知識を活かし、UNDPは国連の対応の一環として、ウクライナの人々と政府を支援し、復旧と再建を進めています。これらの支援では、緊急ニーズへの対応が持続可能な開発目標(SDGs)などの長期的な目標に寄与するように努めています。

ウクライナでの30年近い歴史と現地での活動の経験を活かし、UNDPは現地政府や地域コミュニティと密接に協力しながら、包括的で公正かつ環境に配慮したアプローチを優先しています。戦時下において、UNDPは地域当局と連携して、重要サービスの提供を維持し、人道援助へのアクセスを促進し、避難した人々が帰還できるように地雷除去や瓦礫撤去を支援してきました。