瓦礫処理活動をウクライナの8地域まで拡大し、機材の提供とともに安全性の向上と迅速な復興を推進します。

キーウ発 – 国連開発計画(UNDP)ウクライナ事務所は、日本政府、韓国政府そしてマルチパートナー信託基金(MPTF)であるウクライナ・コミュニティ復旧基金の支援を受け、世界で最大規模の瓦礫撤去プロジェクトを開始します。
現段階の算定によると、ウクライナ全住宅戸数の13%が損傷または破壊されており、250万世帯以上に影響が及んでいます。瓦礫の撤去・処理(必要に応じて解体作業も実施)には、約130億米ドルの費用がかかると見積もられています。
UNDPによる事業はウクライナの8地域にわたり、破壊された住宅や高層ビル、学校、病院、その他のインフラ施設を優先席に瓦礫撤去事業を展開していきます。
また、本事業では、350以上の雇用創出を実現し、経済復興をも支援します。すでにキーウ州、チェルニヒウ州、ムィコラーイウ州では瓦礫撤去と解体作業が進行中で、今後ザポリッジャ州、ドニプロペトロウスク州、ヘルソン州、およびスームィ州、ハルキウ州の各都市にも拡大予定です。
現在、「安全第一」とする方針の下で準備作業が進められています。
作業現場の安全を確保するため、対象地域では広範な非技術的調査が実施されており、地雷や不発弾(UXO)がないことを確認しています。このような調査は作業員や住民の安全を守るために不可欠であり、撤去作業を開始する前に完了しなければなりません。2025年2月中旬の時点で、すでに260か所以上の調査が実施されています。
また、安全性を高めリスクを最小限に抑えるため、瓦礫撤去に関わるすべての作業員が総合的な研修を受けています。研修内容には、アスベストを含む有害物質管理、爆発物リスク教育、性的搾取・虐待からの保護(PSEA)などが含まれます。
これまでに瓦礫撤去作業員、管理者、エンジニアなど48名が研修を修了しました。この研修は「トレーナー養成(ToT)」方式で実施され、最初の2グループの参加者がより多くのチームへ知識を広める形で効率性を高めています。
中込正志 駐ウクライナ日本国特命全権大使は、日本がウクライナと共に歩む姿勢を強調し、「ウクライナの復旧における信頼できるパートナーであるUNDPとともに、ウクライナでの過去最大規模の瓦礫撤去イニシアチブを支援できることを光栄に思います。日本の知見を活用し地域社会の復興を後押ししていきます。」と述べました。さらに、中込大使は「日本は自然災害による大きな試練を経験しており、復旧・復興努力における瓦礫管理の重要性を深く理解しています。」と述べました。
パク・ギチャン 駐ウクライナ大韓民国大使は、韓国がウクライナの復旧に尽力する姿勢を改めて示しました。「早期復興と地方開発プロジェクトのためのUNDPへの最近の拠出は、ウクライナの生計回復と地域再建への支援を示すものです」とパク大使は述べました。また、韓国の長期的な支援策として「ウクライナ平和と連帯イニシアチブ」を挙げ、「この取り組みを通じ、国家安全保障や人道支援から復興努力に至る包括的な支援を提供し、ウクライナ国民の持続可能な発展を確保することに尽力します。」と語りました。
ヤコ・シリアーズUNDPウクライナ常駐代表は、UNDPがウクライナにおける瓦礫管理の最前線で活動し続けていることを強調し、「2022年以降、UNDPは4地域の計89市町村で40万トンの瓦礫を撤去してきました。日本政府と韓国政府の支援を受け、UNDP活動を大幅に拡大しています。これまでの経験を活かし、UNDPはウクライナがEU基準に沿った持続可能な瓦礫管理システムを構築できるよう、政策強化、地域の能力向上、分野横断的な協力を推進しています。」と述べました。
ナターリヤ・コズロフスカ ウクライナ地方・国土発展省副大臣は、現在進行中の紛争による破壊規模の大きさがウクライナにとって極めて深刻な課題であることを強調し、「ウクライナ全土に広がる瓦礫の量は前例のないものであり、どの国も完全に備えることはできなかった課題です。アスベストや不発弾などの危険物の存在がさらに作業を困難にしています。安全を最優先にしながら、この困難を乗り越えるために支援してくださっているUNDP、日本、そして韓国に深く感謝いたします。」と述べました。
背景
UNDPは、ウクライナ特有の状況に適応した包括的かつ総合的な瓦礫管理手法の開発を主導しています。この取り組みには、強固な法的枠組みの確立、効果的な瓦礫撤去のベスト・プラクティスの策定、地域社会が瓦礫を効率的に管理・撤去できるよう支援することが含まれます。主要な優先事項には、アスベスト含有物質のリスク軽減や持続可能な瓦礫のリサイクル・再利用の促進が挙げられます。