UNDP、ウクライナで戦争被害者のための革新的な復興イニシアティブを開始
2023年11月29日
キーウ発 − 国連開発計画(UNDP)は今週、リハビリテーション・サービスの向上に関する極めて重要な全ウクライナ会議で先陣を切り、2つの革新的なイニシアティブを発表しました。この会議は、韓国、ドイツと日本から資金援助を受け、ウクライナ大統領府、保健省、社会政策省とウクライナ議会人権委員会事務局の協力で実施されたものです。
会議では、ウクライナのリハビリテーション制度の現状が取り上げられ、専門家やプロフェッショナルが知識、研究や経験を共有する場が提供されました。登壇者たちは、リハビリテーション制度が直面する課題について議論し、これまでの成果についても強調しました。また、戦時下における連携努力の必要性を強調しながら、今後数年間における同分野の発展のための主要な方向性が説明されました。
ヤコ・シリアーズUNDPウクライナ常駐代表は開会の挨拶の中で、戦争の影響でリハビリテーション・サービスが早急に必要となっていると強調し、UNDPが包括的な復興に全面的に取り組んでいると述べました。「UNDPはウクライナのリハビリテーションを推進しています。また、包括的な政策を提唱し、政府、市民社会と民間セクターと協力し、障がいを持つ人々へのアクセシビリティと支援を強化し、誰も取り残さない社会を目指しています」と、シリアーズ代表は述べました。
このイベントでは、戦争による負傷や障がいによって影響を受けた人々のためのリハビリテーション・サービスについて、全国的な調査、フォーカス・グループ・ディスカッションや影響を受けた人々とのインタビューから得られた主要な調査結果が報告されました。
ウクライナ大統領府のユリア・ソコロフスカ副長官は、リハビリテーションとは単なる身体的なプロセスではなく、個人の社会への完全な統合に向けた多面的な道のりであると述べました。「肉体的な回復の先に、社会的・職業的な完全な社会復帰という最も重要な課題があることを、私たち全員が認識することが重要です。今日の私たちの責任は、身体的な側面にとどまりません。一人ひとりの心理的、社会的そして職業的な回復を積極的に促進しなければなりません。身体を治療するだけでは不十分で、生活と環境を再建し、自由かつ完全に社会に溶け込む機会を提供しなければなりません。社会自体の準備も同様に重要です」
本日(21日)発表されたUNDPのイニシアティブの第一弾は、ウクライナの各州にある14の医療機関において、ソーシャルワーカーを多職種チームに統合するという大きな一歩を踏み出すものです。これらの専門家は現在、患者が必要なサービスを利用できるようサポートし、心理的応急処置を施し、被害者の家族を支援しています。
オクサーナ・ゾルノヴィッチ社会政策大臣は、政府がリハビリテーションの過程を包括的かつ実践的なものにするために取り組んでいると述べました。「今年初めて、試験的なプロジェクトの一環でソーシャルワーカーが多職種チームに参加することになりました」と、ゾルノヴィッチ大臣は述べました。「ソーシャルワーカーは、入院中の患者の書類復元、義肢装具の入手、公的給付やサービスの利用を支援する専門家であり、これは重要な革新といえます。多職種チームにソーシャルワーカーを参加させることで、治療、リハビリテーションと地域社会におけるソーシャルサービスの架け橋となることを目指します」
2つ目のイニシアティブは、視覚障がいを持つ人々のためのリハビリテーション・モデルを開発し、試行することです。このモデルは、各リハビリテーション段階で必要とされるサービスの概要を示し、必要な専門家を特定し、その能力を定義し、各サービスで必要となる設備を詳述するものです。同モデルは現在、ウクライナの2つの主要なリハビリ施設で承認を受けている最中です。
さらにこのイベントでは、ウクライナの医療機関やリハビリテーション専門家の成功事例が紹介され、また、保健省が「Centres of Excellence(センター・オブ・エクセレンス)」というコンセプトを導入し、最も優れたリハビリテーションの実践を一元的に管理し、その普及に力を入れていることも示されました。
ウクライナのビクトル・リャシュコ保健大臣は、ウクライナのリハビリテーション制度がヨーロッパで最も優れたものになるべきだと強調しました。
「これは、ウクライナ大統領が私たちに課した任務です。これは英雄たちに対する私たちの義務です。今年、すでに92,000人の患者が病院で、115,000人の患者が外来で、無償のリハビリ支援を受けました。政府はこのために30億UAH(ウクライナ・フリヴニャ)を医療機関へ支給しました。現在、私たちはヘルスケア分野におけるリハビリテーション制度の開発構想を実行に移す努力を続けています。質を向上させるため、保健省は6つの卓越したリハビリテーションセンターの開発に着手しました。これらの医療施設は、すでに優れた結果を示し、ベストプラクティスを適用しており、貴重な経験の拠点となっています。これらを基盤に、先進的な技術が適用され、多職種からなるリハビリテーション・チームの専門家が訓練を積むことになります。彼らはまた、エビデンスに基づいた新しいリハビリテーション手法の導入にも取り組むでしょう」と、リャシュコ大臣は付け加えました。
背景:この画期的なイベントは、UNDPが韓国とドイツから資金提供を受けた「戦争により障がいを負った人々のリハビリテーション支援」と、日本政府が支援する「戦争による多次元的な危機への対応を通じたウクライナにおける人間の安全保障の推進」というイニシアティブの一環で開催されました。これらのプロジェクトは、ウクライナの戦争に起因する複雑な課題に対処するための、国際的な連携努力を強調するものとなっています。
メディアお問い合わせ先:Yuliia Samus - UNDPウクライナ広報担当 (Email: yuliia.samus@undp.org)