ディサナヤケ大統領、透明性と優れたガバナンスへの国家のコミットメントを再確認
スリランカ、汚職防止に関する新たな国家行動計画を発表
2025年4月9日

スリランカ政府は4月9日午前、「国家汚職防止行動計画(2025–2029)」を正式に発表しました。本計画は、ガバナンスの強化、透明性の向上、法の支配の徹底に対する同国のコミットメントを再確認するための戦略的な取り組みであり、国連開発計画(UNDP)の技術支援および日本政府の約90万米ドル資金協力のもと、贈収・汚職疑惑調査委員会(CIABOC)によって策定されました。
発表式典には、同国のアヌラ・クマーラ・ディサナヤケ大統領、ムルドゥ・フェルナンド最高裁判所長官、ニール・イダウェラCIABOC委員長および同会委員・事務総長、磯俣秋男駐スリランカ日本国特命全権大使、久保田あずさUNDPスリランカ事務所常駐代表、高等弁務官、国際機関・各省庁の幹部職員、政府高官をはじめとする多くの来賓が出席しました。
スリランカが、クリーンで環境に優しい、持続可能な国家を目指して歩みを進めるなか、汚職の根絶は国家の最重要課題の一つです。2019年から2023年にかけて実施された前回の行動計画の成果と教訓を基に、あらゆる統治レベルにおいて汚職と闘うための包括的なロードマップを提示するため、今回の行動計画が策定されました。国の憲法や法制度の枠組みに沿いつつ、国および州レベルの多様な利害関係者との広範な協議の結果や、国際的に優れた実践事例等が取り入れられました。
スリランカでは2023年に、汚職防止の取り組みにおける重要な節目となる「汚職防止法第09号」が制定されました。同法令を受けて策定された今回の行動計画では、政府と社会全体が一体となって取り組む姿勢を促進することに焦点を置きつつ、汚職が経済の安定や社会的信頼に与える深刻な影響に対応するための、包括的かつ戦略的な行動の必要性が強調されています。
今回の行動計画では、汚職防止のための包括的な戦略を構築するうえで重要な分野として、贈収賄および汚職に対処するための国内法および政策の枠組みの強化、汚職対策に関わる主要機関間の連携を強化し調整を改善すること、金融犯罪の捜査および訴追の質と効率性の向上、予防措置・制度強化・教育・法制度改革のあらゆる分野への導入、そして説明責任と高潔性の推進に向けた市民の積極的な関与の促進といった取り組みが盛り込まれています。
ニール・イダウェラCIABOC委員長は、「汚職対策には、単なる処罰的措置だけでは不十分です。これは文化的に根深い問題であり、価値観の包括的な転換が必要です。幼少期から誠実性を育むことが出発点です。説明責任と共に、予防の仕組みや告発者への支援体制も不可欠です。制度的改革へのコミットメントの一環として、政府機関内に内部監査ユニット(IAU)を設置し、透明性と能動的な監視を確保します。」と述べました。
また、磯俣秋男大使は、「透明性と良好なガバナンスは、持続可能な経済発展の基盤です。スリランカが外国投資を誘致し、長期的な成長を達成するには、汚職の根絶が不可欠ですあり、本行動計画の効果的な実施と継続的なフォローアップが成功の鍵です。政治家や官僚を含むすべての関係当局が、この計画を具体的な行動へと転換し、全レベルのガバナンスにおける説明責任を確保することを期待しています。」と述べました。
当計画は、予防措置・制度強化と執行・教育・法および政策改革という4つの戦略的柱に基づいて構成されており、効果的な国家的汚職対策戦略に不可欠な9つの優先分野をカバーしています。計画には、短期・中期・長期の目標が盛り込まれ、持続可能な進展が確保されるよう詳細な実施スケジュールが策定されています。
久保田あずさUNDPスリランカ常駐代表は、「国家汚職防止行動計画は、スリランカ社会全体の変革へのロードマップです。計画が完全に実施されれば、汚職は構造化され、包摂的で成果主導型の仕組みにより、可視化されることになります。UNDPは、2019–2023年の最初の行動計画、そして2023年の汚職防止法制定を含むスリランカの汚職対策において、信頼できる技術的パートナーとして支援してきました。今後もCIABOC、司法、税収機関、独立委員会、国会、市民など、幅広い関係者と連携しながら、経済ガバナンスの強化に取り組んでいきます。」と述べ、UNDPとしてのコミットメントを表明しました。
当計画の効果的な実施には、政府、市民社会、民間セクター、そして一般市民の総力を結集する必要があります。スリランカが汚職防止対策における国際的評価を向上に努める中、本取り組みは、国民の信頼を回復し、公平かつ公正なガバナンス体制を次世代へとつなげていくための重要な一歩となります。