UNDPと日本政府の支援で設置されたバイオマス暖房システムにより、モルドバで80世帯の生活を向上
2025年2月17日

国連開発計画(UNDP)と日本政府の支援により寄贈・設置された固形バイオマスボイラーにより、モルドバ各地のエネルギーに脆弱な80世帯が温熱環境の改善と節約を経験しています。
受益者は、持ち家に住んでいること、(2023年から2024年の暖房シーズンに割り当てられたカテゴリーに従って)エネルギー脆弱世帯に分類されていること、特別なニーズを持つ世帯を含む大家族であることなど、いくつかの基準に基づいて「エネルギー脆弱性」情報システムから選ばれました。選ばれた世帯は全国各地に満遍なく分布しており、そのほとんどに扶養している子供が4人以上います。受給資格の条件のひとつは、別館の建設や、居住スペースとは別の部屋の割り当てることで、受益者自身がボイラーを設置する場所を用意することでした。
ほとんどの受益世帯では、パイプ、ラジエーター、継手、煙突を含む完全な室内暖房システムが設置されました。対して、ヤロべニ県ダンチェニ村のナタリアとドゥミトゥル・ディアコネスク夫妻のように、受益者の10%未満は、すでにストーブに接続された暖房設備を持っており、ボイラーと煙突だけが必要なケースもありました。ディアコネスクさん一家には4歳から16歳までの4人の子供がおり、夫は事故に遭ってから車椅子を使用しています。
二年ほど前、ディアコネスク一家が自宅を購入したとき、新しいストーブとラジエーター・床暖房付きの暖房システムを作りました。しかしナタリアさんは、新しいボイラーは以前とは比べものにならないと言います。
「今では、燃料を継ぎ足し続けなくてもいいし、暖房が長持ちするし、外気温に応じて調節できます。そして、新しいボイラーは、調整の必要が少なく、とても使いやすいです。朝、ボイラーに燃料を入れれば、火が消えたり家が寒くなったりすることを心配することなく、一日を過ごすことができます。室内に煙がないことは安全でもあります。潜在的なリスクに対する不安も以前ほどはなくなりました。とても気に入っています。」


「新しいボイラーの運転効率は最大84%と、最大効率が40%のストーブと比べて高いです。これにより、ストーブと同じ熱量を得るためにボイラーが使用する固形バイオ燃料の量は、約半分で済みます。さらに、室内暖房システムを設置することで、熱が家全体に均等に行き渡ります。これは、1部屋か2部屋程度を暖めるのがやっとのストーブでは難しいことです」とUNDPモルドバ事務所の職員ミハイル・ルプは説明します。
人々にとってのエネルギー安全保障は、手ごろな価格のエネル ギーへのアクセスによって向上します。これを実現するため、UNDPは日本政府からの財政支援を受けて、固形バイオ燃料生産者を支援し、公共機関と家庭の両方でエネルギーコストを削減し、温熱快適性を高めるために、バイオマス利用を促進してきました。
同プロジェクト「人間の安全保障に関する新たな課題への多面的対策」の一環として、公共機関のバイオマスボイラーオペレーター150人が建築の中核的研究拠点で研修を受け、12の固形バイオ燃料生産者が燃料生産のエネルギー効率向上の支援を受けました。生産者と提供者、バイオ燃料消費者をつなぐオンライン・プラットフォームである「piata-biomasa.md」も活性化されました。また、エネルギー効率対策、特に熱源としてのバイオマス利用を促進するため、学校やサマーキャンプで十数のワークショップが開催されました。
バイオマスをバイオ燃料として利用することは、エネルギーミックスの多様化、持続可能な開発の促進、温室効果ガスの排出削減による環境への悪影響の緩和において重要な役割を果たします。