日本とUNDP、中央アジアにおける気候変動リスクに対する 都市の強靭性強化のための新しい取り組みを開始

2024年9月11日
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署名交換をする山田淳 駐カザフスタン特命全権大使(左)とカタジナ・ヴィヴェルニア UNDPカザフスタン常駐代表(右)

Photo: UNDP

2024年9月11日 – 国連開発計画(UNDP)と日本政府は、7億7,300万円の新プロジェクト「中央アジアにおける災害リスク及び気候変動に対する都市強靱性向上計画(UNDP連携)」に合意し、その交換公文の署名式がカザフスタンの首都アスタナにて開催されました。本プロジェクトは、中央アジアにおける都市の気候変動リスクへの強靭性を高め、中央アジア5カ国間 (カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン)の地域協力メカニズムと国家戦略の推進を通して、 同地域全体で持続可能かつ強靭な未来を促進することを目的としています。また、本プロジェクトは、「中央アジア+日本」対話の枠組みにおける地域協力の一環として実施されます。

中央アジア地域は気候変動の影響を最も受けやすい地域の一つであり、すでにその深刻な影響に直面しています。この地域では、頻発する自然災害が大規模な災害や、深刻な環境劣化・汚染などに発展するケースが多く、複合的な災害リスクが内在しています。特に都市部に住む人々は危険なリスクにさらされています。これは現行の災害対策では対処しきれない程の急速な都市化が要因の一つと考えられます。

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Photo: UNDP

署名式において、カタジナ・ヴィヴェルニアUNDPカザフスタン常駐代表は気候変動対策の緊急性を強調しつつ、以下のように述べました。「中央アジアは気候変動に対して非常に脆弱であり、緊急の対策が必要です。この取り組みは、協力メカニズムと革新的な戦略を推進しながら、急増する自然災害に対応し、中央アジア地域全体で都市の強靭性を強化するものです。」

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第6次評価報告書では、気候変動は中央アジアにおいて重大な脅威であると指摘しました。同報告書によれば、中央アジアの気温の上昇は世界平均を超え、2085年までに平均気温が2.0〜5.7℃上昇することが予測されています。この気温上昇は中央アジアにおいて、極端な気象現象、熱波、干ばつなどのさらなるリスクをもたらすとしています。

この度立ち上げられたプロジェクトは、確立されたプラットフォームを通じて中央アジア5カ国間の地域協力を強化するとともに、都市計画における日本などの国々の成功事例に基づいた革新的なアプローチを導入することに焦点を当てています。さらに、気候変動および災害リスク分析・評価の新しい手法を取り入れることで、将来の気候変動課題への効果的な対処を見据えた都市計画を再構築するものです。また、能力構築などの取り組みを制度化し、それらの活動のプロジェクトサイクルを超えた持続可能性を確保します。

ステリアーナ・ネデラUNDPイスタンブール地域センター所長は、「強靭性を持った都市の構築は中央アジアの未来に不可欠です。このプロジェクトは、都市の強靭化において、気候と災害リスク削減の取り組みを都市計画と開発に統合する包括的なアプローチを活用し、将来の危機に対する都市部での準備を促します」と訴えます。

UNDPは中央アジア地域における都市の強靭性強化に取り組んでおり、気候変動課題の中で発展する都市を創造することを目指しています。これらの取り組みは、人中心かつジェンダーに配慮し、また気候変動リスクに基づいたアプローチを通じて、都市計画における関係機関間の連携の障壁を取り除くことにも注力しています。統合的かつ包括的な戦略を促進することで、UNDPは気候変動の影響に対して強靭な都市コミュニティの構築に取り組んでいます。