日本とUNDPがトルコの被災地で地震瓦礫のリサイクルに向け協力

2023年8月24日
Photo: UNDP Türkiye / Bora Akbay

8月16日、国連開発計画(UNDP)トルコ事務所のルイザ・ヴィントン常駐代表と勝亦孝彦駐トルコ共和国日本国特命全権大使は無償資金協力「地震災害廃棄物の環境上適正な管理及び有害廃棄物の安全な処理計画」に関する書簡に署名しました。先の震災により、50,700人以上が死亡し、313,000以上の建物が破壊されましたが、本プロジェクトは、甚大な被害を受けたハタイ県とカフラマンマラシュ県で、環境に配慮した、新しいリサイクル施設を被災地では初めて設置し、瓦礫からアスベストなどの有害廃棄物を安全に除去し、金属屑やその他のリサイクル品を分別し、セメントを粉砕して舗装や建築資材として再利用することを目的としています。

「人的被害と同様、この災害で発生した瓦礫の量も理解を超えています。」とヴィントン常駐代表は述べました。「だからこそ私たちは、日本の資金、専門知識、技術を活用し、トルコのパートナーが瓦礫の山を生態系に配慮した方法で管理できるよう支援できることに感謝しています。」

勝亦特命全権大使は、「困った時の友こそ真の友といわれるように、2月にトルコ南東部で発生した地震の直後から、日本は捜索・救助活動を含む様々な形で支援を行っており、今後も継続する予定です。この未曾有の地震に対する支援と復興への努力は、両国関係をより強固なものにしていくものであると感じています。」と述べました。

環境・都市化・気候変動省のレセップ・アクデニズ環境管理局長は、「地震発生以来、政府はこの地域の正常な生活を回復し、国民の傷を一刻も早く癒すため、あらゆる手段を用いてきました。我々は、未曾有の災害によって生み出された瓦礫のリサイクルのために、可能な限りの支援を提供する努力を続けています。そのような中、特に日本とUNDPには、安全で環境保護措置に沿ったリサイクルのための2つのモデル施設を建設するための支援に感謝しています。」

UNDPの推計によると、被災地の建物の倒壊によって生じた瓦礫の量は、これまでの世界中の自然災害のほとんどを凌ぐものであり、重さにすると2億トン以上、量にすると1億平方メートルになり、ニューヨークのマンハッタンをカバーするに値するのです。ちなみに、2011年の東日本大震災では3,100万トンの瓦礫が発生しました。

過去の災害の経験から、瓦礫の90%まではリサイクル可能であることが分かっています。日本は、2011年の地震と津波で壊滅的な被害を受けた瓦礫の81%をリサイクルすることができました。「早く始められれば早いほどいい。」とヴィントン常駐代表は述べました。「リサイクルされた瓦礫は、これから始まる大規模な復興に不可欠な原材料となるからです。待てば待つほど、瓦礫が不適切な場所に運ばれる危険性が高まります。」

地震以来、トラック何十万台もの瓦礫が、破壊された市街地から仮置き場へと運ばれ、すでにコンクリート廃棄物から鉄筋がはぎ取られています。残念ながら無許可の投棄も行われており、居住地や農地、生態系への潜在的な脅威となっているのです。

本プロジェクトの最初のステップは、環境・都市化・気候変動省と共に、既存の保管場所の地図を作成し、不法投棄によって生じた「ホットスポット」を特定することです。次に、地震瓦礫管理戦略と実施計画を作成します。日本の資金は、工業規模の破砕機、磁選機、ベルトコンベヤーを備えた2か所の大規模なリサイクル施設の建設と、小規模な保管場所で瓦礫を処理するための移動式破砕機の購入に使われます。また、瓦礫のリサイクルに対する関心を高め、人口集中地区、水生資源、農場、保護地域付近への無秩序な投棄を抑制するため、自治体職員、地域指導者、市民活動家に対し、健全な瓦礫の環境浄化方法についての研修を行います。

日本はすでに、UNDPが実施中のプロジェクト資金41万7000米ドルを、緊急に必要とされる廃棄物管理及び水質汚染防止のための機材などをハタイ県に提供するために充てることを認め、地震への対応に貢献しています。

日本は2022年、UNDPの世界最大の拠出国となりました。過去5年間で、日本はより良い生活、人権、環境保護に特化したUNDPトルコ事務所に670万米ドル以上を拠出してきました。