UNDPとJICAは、2018年6月より、TICAD(アフリカ開発会議)とアフリカ開発をテーマにした対話型イベント「AFRI CONVERSE(アフリコンバース)」を共催してまいりました。通算16回目となる今回は、外務省のTICAD30周年記念公式サイドイベントとして、以下概要にて実施致します。
アフリコンバース 2023第4回 アフリカにおけるイノベーションの台頭:持続可能な開発のための起業ソリューション
2023年11月29日
Event Details
18 12月 2023
16:30-18:00 (日本時間)
ハイブリッド(オンライン配信:ZOOM)
アフリカの経済は資源と若い人口の恩恵を受け、成長と発展の可能性が広がっています。しかし、経済基盤や社会インフラの不足から、依然として貧困や不平等が深刻な問題となっています。その結果、アフリカ諸国の人間開発指標は世界平均よりも低い水準が続いています。アフリカのスタートアップ企業は、教育、農業、ヘルスケア、エネルギー、金融などの分野で新たなソリューションを提供し、社会経済的な課題に挑んでいます。
例えば、株式会社WASSHAは、東アフリカの小規模小売店であるキオスクと提携し、低所得層の消費者に対して手頃な価格で電気を提供しています。アフリカでは6億人以上が電力にアクセスができず[1]、同社は電気が利用できない状況にある人々にエネルギーのアクセスを提供し、エネルギー貧困の軽減に寄与しています。
同様に、アフリカの多くの地域で金融機関が不足している中、スタートアップはモバイル通信の普及を活かし、デジタル手段を通じて金融サービスへのアクセスを改善しています。これにより、フィンテック分野の新興企業が急速に拡大し、モバイル決済やモバイルバンキングアプリを通じてデジタル金融リテラシーを広めています。2021年には、テクノロジー分野におけるユニコーン企業(評価額が10億米ドルを超える非上場の新興事業)のうち、7社中5社がデジタル・フィンテック企業でした[2]。
このようにアフリカのスタートアップは、社会経済問題の解決に大いに寄与しており、そのための投資も増加傾向にあります。2022年には、アフリカへの投資が過去最高の54億ドルに達し、日本からの投資も拡大しています(Africa Business Partners 2022)。日本企業や投資家はアフリカの成長市場に注目し、新たな機会を模索しています。スタートアップ支援は民間セクターに限定されず、研究機関などが積極的に参画しています。
東京大学では、研究・教育成果の実用化と社会還元を目指し、アフリカ進出のスタートアップを支援するインキュベーション施設を運営しています。これにより、アフリカと日本の経済的な結びつきが強化され、アフリカのスタートアップが新たな成長機会を見つける手助けとなっています。
日本がアフリカのスタートアップに投資することには、3つの主な意義があります。まず第一に、アフリカ全体の経済成長を促進します。アフリカは急速に成長する人口と経済潜在力を有し、アフリカ大陸自由貿易地域(AfCFTA)の下で更なる市場統合が期待されています。アフリカのスタートアップへの投資は、この経済成長をけん引し、特に最も脆弱な企業に新たなビジネス機会を提供します。次に、技術革新を促進します。アフリカのスタートアップは独自の問題に対処する革新的なビジネスモデルを持っており、例えば、国境地帯の村の貯蓄貸付組合のデジタル化がその一例です。これは中小企業に金融へのアクセスを向上させています。最後に、知識と資本の移転を通じた国際協力関係の醸成です。日本企業がアフリカ市場に進出する同時に、地元の雇用創出と経済発展に寄与します。これにより、アフリカの貧困削減や社会問題の解決が促進され、日本とアフリカの経済的・政治的な結びつきが強化されます。
このような背景から、日本政府はアフリカビジネス推進戦略を策定し、アフリカの新興企業への投資を拡大する方針を採用しています。アフリカのスタートアップへの投資を通じて、日本企業は新たな市場機会を追求し、アフリカの経済発展と社会課題の解決に貢献することが期待されています。
このセッションでは、スタートアップへの投資の視点から、アフリカ大陸における今後の発展の展望について議論が行われます。ハイレベルの登壇者たちが、アフリカにおけるイノベーションとスタートアップ投資の将来的な可能性について洞察を提供します。
<開催概要>
日 時:2023年12月18日(月)16:30~18:00(日本時間)
共催機関:東京大学、独立行政法人国際協力機構(JICA)、国連開発計画(UNDP)
形 式:ハイブリッド開催
- 対面開催場所:東京大学 工学部11号館 HASEKO-KUMA HALL
- オンライン配信:ZOOM
参加費用:無料
言 語:日本語・英語・仏語(同時通訳)
参加登録:
プログラム:
16:30~16:33 イントロダクション
16:33~16:38 開会挨拶①
16:38~16:43 開会挨拶②
16:43~17:57 パネルディスカッション(+Q&Aセッション)
17:57~18:00 閉会
登壇者(敬称略):
- 中村俊之 JICA 理事長特別補佐
- 西野修一 外務省アフリカ部アフリカ一課長
- Cinzia Tecce 民間セクター開発専門家 UNDPマラウイ事務所
- 伊月温子 JICA経済開発部 民間セクターグループ 主任調査役
- 染谷隆夫 東京大学 執行役・副学長、教授
- 秋田智司 WASSHA株式会社 代表取締役CEO
アフリコンバースとは:
UNDPとJICAは、2020年6月からTICAD(アフリカ開発会議)とアフリカ開発をテーマにした対話型イベント「AFRI CONVERSE(アフリコンバース)」を共催しています。このイベントは、過去のTICADで取り上げられた開発課題のフォローアップと2025年に開催予定のTICAD 9に向けた議論を促進するためのものであり、国内外の多くの方々の参加が期待されています。
お問合わせ:
UNDP 近藤千華 アフリカ局TICAD連携専門官 chika.kondoh@undp.org +81-3-5467-4751
JICA 渡守麻衣 JICAアフリカ部計画・TICAD推進課 Tomori.Mai@jica.go.jp +81-3-5226-6660