増加する難民・避難民の問題解決に向け社会全体で取り組みを

UNDPと日本政府、グローバル難民フォーラムにて人道・開発・平和の連携(HDPネクサス)の取り組みに向けたプレッジ(宣言)を発表

2023年12月27日
UNDPは日本政府の資金提供を受け、ソマリアで避難を余儀なくされている人を支援

Photo: UNDP/Said Fadhaye

UNDPは日本政府の資金提供を受けて、ソマリアの地方行政機関と協力し、避難を余儀なくされている人々が経営する小規模事業を支援

ジュネーブ発 -  2023年12月13日よりジュネーブで第2回世界難民フォーラムが開催され、参加した各国政府とパートナー機関は、難民・避難民問題の要因に取り組み、解決していくためには、開発と平和構築に投資することが重要であると再認識しました。また、国際社会でより一層その責任を共有し、難民と受け入れ地域を支援するためのより効果的な対策が必要だとの考えで一致しました。

2023年9月末時点で、世界には強制的に故郷を追われた人々が1億1,400万人以上おり、2019年に第1回世界難民フォーラムが開催されたときよりも28%増加しています(出典:国連難民高等弁務官事務所[UNHCR])。避難を余儀なくされた世界の人々全体の64%を受け入れているのは、脆弱な状況にある国や地域です。一方で、避難を余儀なくされた世界の人々の78%もまた、脆弱な状況にある国や地域から避難してきています(出典:経済協力開発機構[OECD])。

第2回グローバル難民フォーラムの開会式で、上川陽子外務大臣は、「難民・避難民そして受入コミュニティの人々の夢を実現するため、日本は、ドナー国、受入国、国際機関等が連携するためのプラットフォームとして、人道・開発・平和の連携(HDPネクサス)のマルチステークホルダー・プレッジ(宣言)を打ち出しました」と述べ、様々なステークホルダーにHDPネクサス取り組みに向けたプレッジ(宣言)への支持を呼びかけました。

翌14日、日本政府、UNHCR、およびUNDPは、ハイレベル・サイドイベント「故郷を追われた人々に向けた人道・開発・平和の連携(HDPネクサス)の取り組み」を共催し、国連機関、市民社会、難民、各国政府など、人道支援・開発協力に取り組むパートナーたちが参加しました。ケリー・クレメンツ国連難民副高等弁務官が司会を務めました。

このイベントには、国際協力機構(JICA)の田中明彦理事長と、国連開発計画(UNDP)のハオリャン・シュウ国連事務次長補などが登壇しました。

JICAの田中理事長は、「私たちは、ガザやウクライナ、サヘルなど数多くの人道危機の真只中にあります。これらの危機は、緊急人道支援だけでは対処できません。避難生活の長期化により生まれる複雑な課題に対処し、根本原因に取り組み、将来の危機を防ぐために、開発協力と平和に関わるアクターは人道支援のアクターと力を合わせる必要があります。そのためには、社会全体で取り組む包括的なアプローチを推進し、受け入れ国を支援することが重要です」と述べました。

UNDPのシュウ国連事務次長補は、「避難を余儀なくされた人の数が記録的な数に達する中、平和、開発協力、人道が相互補完しなければ、難民・避難民問題の解決はあり得ません。人道・開発・平和の連携という考え方は新しいものではありませんが、ここ世界難民フォーラムでプレッジ(宣言)を発表することにより、さまざまなアクターの総力としてのコミットメントを行動に移し、難民と受け入れ地域に対してより良い支援を行うことが可能になります」と話しました。

このハイレベル・サイドイベントは、人道・開発・平和の分野のさまざまなアクター間の縦割りを解消し、人道・開発・平和の連携(HDPネクサス)のアプローチを通じて人道危機に対処する国際社会の総力をさらに結集させる上で、重要な節目となりました。

このマルチステークホルダー・プレッジ(宣言)の支持者たちは、受け入れ地域への負担を軽減させ、自立を強化し、安全で尊厳のある形での自発的な故郷への帰還を促すような環境づくりなどの行動をとることを約束しました。

このプレッジ(宣言)は、社会全体に対する包括的なアプローチを体現するものであり、次回の世界難民フォーラムに向けて、「難民に関するグローバル・コンパクト」の取り決めの達成を支援する上で、各アクターがそれぞれの強みを発揮できるプラットフォームとなります。