新たな調査結果:スーダンに迫り来る飢饉の回避に向けた、食糧援助を強化し、農業を活性化させる緊急的な行動の重要性
2024年5月22日
スーダンで蔓延する深刻な食糧危機を緩和し、さらなる拡大を防ぐためには、食糧援助を強化し、農業システムを活性化し、サプライチェーンを回復させる緊急かつ広範な介入が必要です。国連開発計画(UNDP)と国際食糧政策研究所(IFPRI)の共同報告書「武力紛争下のスーダンの生活(Livelihoods in Sudan Amid Armed Conflict)」は、スーダン農村部で進行中の武力紛争が及ぼす社会的・経済的影響を評価しました。迫り来る飢饉を防ぐには、早急な停戦、妨げのない人道的アクセス、食糧、栄養、保健、水、衛生への支援強化が必要、と新しい報告書は結論づけています。この報告書は、両組織が2023年11月から2024年1月にかけて実施した、4,504世帯を対象とするスーダン全国の農村世帯の包括的調査の分析に基づいています。
「スーダンの武力紛争が人々の生活と生計にどのような影響を及ぼしているかを理解することは、紛争の悪影響を緩和し、長期的な強靭性と経済的安定を育む的を絞った介入と政策改革を行うための重要な基盤となります。人口の3分の2が農村部に住むこの国で、私たちは農村部の世帯に焦点を当てることを優先しました。私たちは、都市部の世帯や零細・中小企業に焦点を当てた同様の調査で、この調査結果を補完する予定です」とティエール・シュライデUNDPスーダン常駐代表代理は述べます。
この調査は、紛争によって農村世帯の収入が大きく途絶え、住居やインフラ・サービスへのアクセスに関する既存の脆弱性が悪化していると指摘しています。多くの世帯は不十分な住宅に住んでおり、水、電気、衛生設備へのアクセスにも格差があります。農村部の世帯は、農地を含む資産へのアクセスが限定的であり、その結果として彼らの生活をさらに複雑にしています。
IFPRIシニアリサーチフェローでスーダン戦略支援プログラムのリーダーであるハリド・シディグ氏は、「現在スーダンが直面している甚大な課題の大部分は、家計の食糧不安、市場の機能不全、地域間格差や男女間格差など、紛争以前から存在していましたが、武力紛争はこれらの慢性的な問題を大きく悪化させました」と述べています。
この調査では、食糧不安の危機が加速していることが明らかになりました。農村世帯の59%が中程度または重度の食糧不安に直面しており、西コルドファン州、南コルドファン州、青ナイル州が最も深刻な地域です。また、2024年に飢饉が予想され、特にハルツーム州、アジャジーラ州、ダルフールとコルドファン地域で飢饉が起こると、報告書では警告しています。
収入が減少している農村世帯や、世帯員の病気・喪失、気候変動などのショックに遭遇している世帯は、特に食糧不安に陥りやすくなっています。収入を完全に失った農村世帯にとって、状況は最も深刻です。調査対象世帯の半数以上が農作業が中断されたと回答しており、その割合はハルツーム州で最も高く68%を超え、センナール州と西コルドファン州ではともに約63%でした。
紛争は雇用や生活にも深刻な混乱をもたらし、経済不安が広がっています。農村世帯の相当の割合(36.9%)が収入を得る活動の転換を経験し、15%が雇用から無職へと移行しました。全国的には、調査対象世帯の60%で収入が減少し、特に紛争の影響を受けた地域では収入が50%以上減少し、完全に収入が失われるという憂慮すべき事態も発生しています。
紛争によって余儀なくされた大規模な移住、特に都市周辺部から農村部への移住は、移住者の大幅な所得減少に繋がりました。激しい紛争は、スーダンの様々な州において、移住を促す大きな要因となっています。例えば、ハルツームの農村部の57%の世帯が、今回の紛争で移住を余儀なくされたと回答しました。
この調査は、紛争が農村コミュニティに及ぼす多面的な影響を緩和し、最も脆弱な人々の生活を改善するための以下の協調的な取り組みの必要性を強調しています。
- 深刻な食糧不安と収入減に直面している世帯に対する緊急人道支援と食糧支援。
- 農業生計に対する緊急支援。農民が補助金付きの投入資材を利用できるようにすること、灌漑インフラの復旧、弾力的な農法に関する研修プログラムに重点を置く。
- 市場機能の回復は、経済復興と食料安全保障の両方にとって不可欠であり、これには市場インフラの再建、安全な貿易回廊の確立、地元商人や小規模事業者の事業再開への支援が含まれる。
- 特に紛争の影響を受けた地域では、安全な飲料水、衛生設備、電気など、基本的な公共サービスへのアクセスを改善するために、早急な取り組みが必要である。
- 経済的負担を軽減し、家計が食料やその他の必需品にアクセスできるようにするため、現金給付プログラムなどによる迅速な経済介入を行う。長期的な介入は、家計に代替的な生計手段を提供し、収入源の多様化、積極的な労働市場政策、職業訓練、非農業零細企業への支援に重点を置くことが望ましい。
- 女性世帯主、低学歴世帯、大家族、失業者や日雇い労働者など、最も弱い立場にある人々を支援するための社会保護プログラムを確立し、拡大する。
その他の主な調査結果
- 農村世帯の73%が不十分な住宅に住んでいる。
- 調査対象世帯の30%が水道網に接続している。
- 水洗トイレを利用できる世帯は農村部の10%未満で、同程度の世帯はトイレ設備がまったくないと回答している。大部分の世帯が、土間のある未改善のピット式トイレを利用している。
- 農村世帯の32.2%が電気を利用できない。
- 農村世帯の71%以上が農地を所有していない。農地を所有していると回答した世帯の半数弱は、5フェダン(2.1ヘクタール)未満しか所有していない。
- 回答世帯の70%以上が、2023年の夏季には耕作しなかったと回答している。耕作していると回答した世帯の半数は、紛争によって耕作が中断されたと回答した。
- 農村世帯の25%が、物理的な障害、経済的な制約、安全上の問題のために市場に行くことができなかったと回答した。43%が必要な買い物ができないと回答し、そのうちの64%が価格の高さを主な障壁として回答している。